2025.06.03 【ITサポートサービス特集】OKIクロステック 提案型サポートに注力 医療機器とGX領域も強化

伊沢 常務

 OKIクロステックは、24時間365日体制のカスタマーサポートセンターと全国180のサービス拠点網を生かし、OKIグループ製品の保守サポートから、他社機器の保守サポートまで、ワンストップで支援できる体制を整える。2025年度は成長事業として取り組む医療機器とグリーントランスフォーメーション(GX)の領域の保守サポートを強化しながら、企業などの困り事を聞き入れて解決できる提案型のサポート支援に力を注ぐ。

 長年、ATM(現金自動預払機)の保守運用で培ってきた知見を生かしたHA(ハイアベイラビリティー=高可用性)サービスを強みに、カスタマーサポートセンターが中核となり総合的なITサポートサービスを手掛ける。伊沢裕司常務執行役員サポートサービス事業本部長は「OKIグループの製品対応から他社機器まで品質の高いサポートができることが強みになっている」と話す。

 現在は医療機器の保守サポートに力を入れ、医療機器保守ができる資格者を全国に300人配備。約600人が医療機器を保守できる体制を整えている。離島も含めて全国で駆け付け保守対応ができることが評価され、現在では約40社の医療機器メーカーと提携して保守サポートを行っている。

 海外メーカーやスタートアップ企業は全国に保守拠点を持たない背景もあり、全国対応できる同社へ依頼するケースも増えている。

 伊沢氏は「医療機器が高度化する半面、人材不足で保守対応できないという声も多く、当社の強みを生かして保守対応を拡大したい」と力を込める。

 GX関連の保守対応も強化する。OKI本庄工場で運用しているZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の知見を生かし、太陽光発電システムから蓄電池、電気自動車(EV)を組み合わせた制御システムの構築運用を支援する。加えてEV充電設備メーカーと急速充電設備の保守提携もしている。「充電設備はこの先も拡張されるため、保守サポートを拡大していく」(伊沢氏)。

 25年度は、企業などの課題を聞きながら解決策の提案ができる「提案SE(システムエンジニア)」を拡充する。これまでホームページなどの問い合わせ対応を中心に保守サポートを進めてきたが、既存顧客だけでなくさまざまな企業が抱えている課題に対し、踏み込んで話を聞き提案できる人財を増やす。

 伊沢氏は「営業のほか、受注後に対応するSEと保守対応するCE(カスタマーエンジニア)のみで対応していたが、これからは顧客のニーズを聞き取り解決する、提案活動に特化したSEが必要になる」と説明。現在、提案SEの強化を進めており、今後は営業とCEの間を取り持つ人財として新たな受注拡大につなげていく計画だ。

 カスタマーサポートセンターの高度化にも力を入れていく。保守支援のDX(デジタルトランスフォーメーション)化を進め、保守の高度化につなげてきた。チャットボットやRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)なども導入して自動化を進めているほか、今後は生成AI(人工知能)の導入なども検討していく。現場のデータを蓄積して利活用することを進め、「デジタル化に向けた投資を継続していく」(伊沢氏)。