2026.02.23 【複合機ソリューション特集】商業印刷、デジタル化が加速 AI活用で自動化・高付加価値へ

富士フイルムビジネスイノベーションは、AI機能を搭載した商業印刷デジタル機を発表した富士フイルムビジネスイノベーションは、AI機能を搭載した商業印刷デジタル機を発表した

 商業印刷市場でも、アナログからデジタルへのシフトが進んでいる。デジタル印刷はオンデマンドによる多品種少量印刷や短納期対応が可能で、需要変動に柔軟に対応できる点が強みだ。現在、商業印刷市場に占めるデジタル印刷の構成比は1割超にとどまるが、今後も着実な拡大が見込まれている。商業印刷分野でもAI(人工知能)を活用し、自動化・効率化を図る動きが広がっている。2月18~20日には、東京・池袋で印刷メディアビジネスの総合展「page2026」が開催され、最新のデジタル印刷技術が来場者の関心を集めた。

人手不足がデジタル化後押し
 商業印刷のデジタル化が進む背景には、印刷業界の人手不足や熟練技術者の高齢化がある。デジタル化による印刷工程の自動化など、生産性向上への要求は一段と高まっている。ニーズの多様化に対応するオンデマンド印刷の拡大や、環境配慮の観点からも、アナログからデジタルへの移行が加速している。

AIで印刷工程を高度化
 富士フイルムビジネスイノベーションは、業界で初めてAIを本格採用したフラッグシップモデル「Revoria Press PC2120」を発売した。印刷工程の効率化と品質向上を実現する複数のAI技術を搭載している。また、クラウド型マーケティングサービス

「Revoria Cloud Marketing」では、新機能としてペルソナ(顧客像)の生成から最適な広告案の提案までを行う「ペルソナAI」の提供を開始した。

 同社グラフィックコミュニケーション事業本部の橋本渉DX事業部部長は「印刷現場では人材不足やベテラン技術者の高齢化が深刻な課題となっている。AIを活用し、熟練技術者に依存しない仕組みづくりを提案していく」と語る。AIによる工程自動化と効率化を進めるとともに、マーケティング領域では「印刷業者の受注型から提案型ビジネスへの転換支援」を強調する。

各社、商業印刷を成長領域に
 リコーの宮尾康士コーポレート上席執行役員(リコーグラフィックコミュニケーションズBUプレジデント)は、昨年末の商用・産業分野の事業説明会で「多様化するニーズや印刷会社の課題に対し、デジタル印刷の価値を訴求していく」と強調した。同社はミドルレンジおよびハイエンドのカットシート機で世界トップシェアを持ち、成長分野として商業印刷事業を強化する。主力拠点である厚木事業所を最先端の事業開発拠点へ刷新する戦略プロジェクトも進行中だ。

 キヤノングループは、商業印刷分野の世界的企業であるドイツ・ハイデルベルグ社と業務提携し、グローバル展開を加速している。日本市場向けには、キヤノンとキヤノンプロダクションプリンティング(旧オセ)の技術融合により、国内ニーズに適合した製品開発・投入を進めている。キヤノンマーケティングジャパンは、ライトレンジおよびミドルレンジ分野で強みを発揮する。

 コニカミノルタは、「創注・受注拡大支援」と「生産性向上支援」の2軸で商業印刷のDXを推進し、印刷会社の事業成長と収益力向上を後押しする戦略を展開している。

 セイコーエプソンは、デジタル印刷ソフトウエアソリューションを展開する米Fiery社を完全子会社化し、世界戦略を加速。京セラドキュメントソリューションズジャパンは「TASKalfa Pro 55000c」などの商業印刷向け製品に注力している。商業印刷分野では、デジタル化とAI活用を軸に、印刷会社のビジネスモデル変革を伴う競争が本格化している。