2026.04.07 TE、26年版インダストリアル・テクノロジー・インデックス発表 AIの進展に伴い投資利益率が最優先事項に 日本企業のAI導入はグローバル平均比でやや慎重姿勢

 TE Connectivityは、2026年版の年次報告書「インダストリアル・テクノロジー・インデックス」を発表した。同報告書によると、産業技術企業でのAI(人工知能)導入率は80%を超え、AIが業務により深く組み込まれる中で、企業はその投資対効果を求める傾向が明らかとなっている。

 同年次報告書は、世界のテクノロジー業界をけん引するイノベーションの現状を把握するためにTEが第三者機関に委託して実施した独自調査報告書。重要なイノベーションの課題に企業がどのように取り組んでいるかの洞察と知見の提供を目的としたもので、調査は、米国、中国、ドイツ、インド、日本の5カ国で、各業界のエンジニアとエグゼクティブ計1000人を対象にオンラインで実施した。

 今年の報告書では、過去4年間で初めて、企業は「製品イノベーション」よりも「財務目標」を優先するという回答結果となった。エグゼクティブの43%が最優先事項を「企業利益の追求」と回答し、前年から17ポイント増加した。一方、優先事項に「製品イノベーション」を選択した割合は前年比9ポイント減の26%となった。エンジニアの回答でも同様の傾向がみられ、「企業利益の追求」を選択した比率は31%(前年比2ポイント増)、「製品イノベーション」は24%(同7ポイント減)だった。

 AIの導入に関する調査では、5ヵ国の回答者はいずれも「AI導入が引き続き拡大している」と回答している。「AIを広範囲に導入している」の回答が35%となり、前年の22%から大きく上昇した。国別では米国が41%で最も高く、前年比では26ポイント増と大幅に上昇した。一方、日本では、「広範囲に導入している」と答えたのは33%と前年比2ポイントの増加にとどまった。グローバル平均は35%だった。

 日本企業のAIへの取り組みは、戦略的な方向性に対する自信を持ちながらも、慎重にAI導入が進められている傾向がみられる。日本企業は、自社のAI導入について「段階的な取り組みにとどまっている」と捉える割合が29%(グローバル平均は40%)と比較的低く、AI施策がより「変革につながる成果」を目指すものであることが示唆された。

 こうした日本企業の慎重なアプローチは、AIにとどまらず、新技術全般の導入にも及んでいる。日本のエンジニアとエグゼクティブは、「新技術の有用性が実証されるまで導入を待ちたい」と回答した割合が36%に達し、グローバル平均の30%を大きく上回った。

 AIのメリットに関する見方では、「AIには自動化よりも幅広い価値をもたらす可能性がある」と回答した割合は、日本は54%で、グローバル平均の63%を下回った。「AI導入が新たなスキル開発の機会を生み出す可能性がある」と回答した割合は、日本は66%で、グローバル平均の74%を下回った。

 AI導入によるエンジニア人材への影響については、「AIの導入によって一部業務に必要なエンジニアの数が減少した」と回答した比率は、日本は42%で、グローバル平均の53%を大きく下回った。また、「AIと効果的に協業するためにエンジニアのリスキリングを進めている」と回答した比率は、日本は62%で、グローバル平均の71%を下回った。

 同報告書ではこのほか、サステナビリティ領域におけるAIの活用、日常業務へのAIの活用などに関するトレンドも解説している。