2026.06.15 東芝D&S、データセンター向け電源部品の電力損失30%低減、新SiC MOSFETモジュール
新型パワー半導体モジュール(出所=東芝D&S)
東芝デバイス&ストレージ(東芝D&S)は、電流の変換や安定化を高効率、高密度で行う高周波インバーターの主要部品として、新たな炭化ケイ素(SiC)パワー半導体モジュール技術を開発した。人工知能(AI)が稼働するデータセンターの無停電電源装置(UPS)などで利用を見込む。
電流を一方向に通す整流素子、ショットキーバリアダイオード(SBD)を内蔵したSiC金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)を改良し、新構造のモジュールを組み合わせている。シミュレーションでは60kHzでインバーターを駆動した場合、同社の従来製品である第3世代SBD内蔵SiC MOSFETに比べ30%電力損失を低減できている。
まずSiC MOSFETについて、SBDの動作の信頼性と、電流の経路であるチャネルが動作中の電気抵抗、オン抵抗の低さ、という二つの性能のトレードオフ関係を改善。モジュールをより自由に設計できるよう工夫した。具体的にはチャネルに対しSBDを縞模様でなく市松模様になるよう配置。また電圧によって生じる力、電界を制御するp型バリア領域をより深くMOSFET内部に入り込ませた。

チャネルに加え高電圧を引き受けるドリフト層、両者をつなぐJFET領域の設計や、チャネルに電流を通すオン、止めるオフを決めるゲートの駆動条件など複数の設計パラメーターを調整できるようになり、電流の局所的な集中を抑えつつチャネルとドリフト層の電流の経路を改善。チャネルのオン動作、SBD動作の両方を安定させている。オン抵抗は25℃の室温で1.8mΩ・cm²、150℃で2.7mΩ・cm²と従来比50%低減。面積当たりのSBD通電能力は40%向上させた。
次にこのSiC MOSFETを使った1200V耐圧のSiCパワーモジュールでは、組み込む半導体チップの総面積を従来比36%削減した。樹脂絶縁基板を用いた実装構造と設計の工夫で、単位面積当たりの熱抵抗を従来比25%改善。これに加えゲート駆動速度などを調整するとスイッチング損失が低減し、高周波電力変換の性能向上が可能だと確認できた。今後量産化を検討するほか、さらなる高周波化、高性能化も図る。




