2021.09.10 「フィルムのような」太陽電池東芝が効率上げて初の量産へ

開発された太陽電池(提供=東芝)

 軽く柔軟で、フィルムのように扱える次世代型の「ペロブスカイト太陽電池」について、東芝は9日、世界最高のエネルギー変換効率を実現したと発表した。このタイプでは、電池の面積を大きくすると変換効率が下がるのが課題だったが、結晶構造の膜を生成する新しい方法を開発してこれを克服。生産体制を整えて遅くとも2025年度に市場投入したい考えで、国内初の量産となる可能性がある。

 ペロブスカイト型太陽電池は、桐蔭横浜大学の宮坂力特任教授が09年に発明した、日本発の技術。ノーベル賞級ともいわれ、実用化へ向けた国際競争も激しくなっている。
 同社は今回、新たな成膜法を開発し、エネルギー変換効率を従来より約1%上げて15.1%とすることに成功した。これは世界最高水準。国内外の業界の動向を見つつ、製品投入を25年度よりも前倒しすることも視野に、開発を進める。

 従来の太陽電池では難しかったビルの屋上や壁面などへの設置がしやすくなる。再生エネルギー拡大、カーボンニュートラルに向けて大きな弾みとなるとも期待される。(10日付の電波新聞、電波新聞デジタルで詳報します)