2021.12.14 【新領域に挑む】ユナイテッド・プレシジョン・テクノロジーズ(下)-PR-受託加工からの転換、自社開発製品で「攻め」の営業

異方性導電シート「UHSS」。シート厚は50マイクロメートル、1センチメートル当たり80マイクロメートルピッチで1万5000ビットの性能を持つ

「UHSS」で折った米粒サイズの鶴。もちろん導通する「UHSS」で折った米粒サイズの鶴。もちろん導通する

実績を上げボリュームゾーンにも展開

 プラスチック繊維に金属を編み込み、紙のように使える導電性シート「UHSS(ユニオン・ハイスピード・シート)」に加え、2年以上の歳月をかけて開発した半導体テスト用コネクター「MMS(マイクロ・メタル・ソケット)」。特徴的な部品で市場を切り拓こうとするユナイテッド・プレシジョン・テクノロジーズ(UPT)が、これらの営業活動を2022年から本格化させる。協成(東京都新宿区)とコーケン化学(横浜市金沢区)という、エッチングを武器に市場で存在感を示してきた2社からなるUPTの営業体制が、来年1月に一本化するからだ。

 「これからは営業スタイルが変わる」と強調する佐藤勉取締役営業統括本部長に、今後の営業戦略について聞いた。

佐藤取締役営業統括本部長

 ―「攻めの年」と位置付ける22年は、どのような営業戦略で臨みますか。

 佐藤取締役 MMSは、既に多くの競合がいる市場への参入となる。最後発として営業していくに当たり、従来の部品に対してどう革新的で、どう違うのかをしっかりと説明できるようにしていく。

 UHSSは、導通を確保しながら自由に折り曲げられるという優れた点は分かりやすいのだが、どういう用途に使えるのかを具体的に提案できるようにする。

 プローブピンをデバイス側の電極からのはんだ転写から守る用途に使えることを分かりやすく伝えるために、UHSSではなく「プローブピンセーバー」という名称を使うのも、そうした狙いがあるからだ。こうした用途提案を広げていきたい。

 ―営業スタイルもこれまでと変わりますか。

 佐藤取締役 エッチング企業というのは、一般的に受託加工が事業の柱になる。金属加工の分野が中心で、半導体といった電気分野での自社開発品のエッチングはまずない。

 当社は、新事業としてMMSを立ち上げ、半導体という電気分野にエッチングで挑戦する。加工だけではなく、開発した部品の性能や機能を強みにする方向へとかじを切った。エッチング企業は、当社のような事業展開の発想はしないだろう。

 顧客が求める仕様に加工するだけではなく、当社が開発する部品の性能を顧客が評価することになるわけだ。顧客との間で性能をどう擦り合わせていくかも、さらに重要になってくる。

 これは、企業としての大きなトランスフォーメーションだ。受注を獲得していく「ハンター」のような営業スタイルに今後は変化していかなければならない。

 ―ある意味180度営業スタイルが変わります。どのように対応していきますか。

 佐藤取締役 当社は人材の多様性が強みの一つだ。長年エッチングに携わってきた人材ばかりでなく、外部から集めた人材も豊富。

 UPTを設立した当初から、受託加工以外の新事業の立ち上げを検討してきた。そのため、新事業が立ち上がった時、攻めに転じられるよう、さまざまな人材を集めていたわけだ。

 もちろん、これまでのように受託加工事業も柱にしていく。ただし、これからはエッチングの受託加工に加えて、半導体を軸とした新しい分野にも挑んでいく。

 MMSやUHSSで、まずは最先端の半導体テスト用途で需要をつかんでいく。実績を積み、その後はボリュームゾーンにも展開できるような開発と販売体制を整えていきたい。(おわり)