2022.04.08 東芝、2分割計画を中断、株式非公開化視野に再検討

株主から戦略見直しを求める意見が相次いだ東芝の臨時株主総会の会場=3月、東京都新宿区

 東芝は、グループの2分割案を盛り込んだ2月発表の再編計画を中断すると発表した。3月の臨時株主総会で2分割する議案などが反対多数で否決されたことを受けたもので、エレベーター(昇降機)と照明事業の売却手続きも中断。社外取締役で構成される「特別委員会」を設置し、株式の非公開化を含めた戦略を再検討する。

 東芝は7日、戦略的選択肢の検討を行うため、特別委を設けると発表した。

 2分割案で「非注力事業」と位置付けたビル関連の3事業のうち、昇降機と照明の両事業の売却を中断。空調子会社の東芝キヤリアは米空調大手キヤリアに保有株を譲渡することを決めており、予定通り9月末の手続き完了を目指す。

 特別委は、東芝から独立した6人の社外取締役で構成され、委員長はジェリー・ブラック取締役(元イオン専務執行役)が務める。特別委の設置に伴い、分割計画づくりを主導した「戦略委員会」は同日付で解散した。

 アクティビスト(物言う株主)を含めたステークホルダー(利害関係者)との協議は、東芝の島田太郎社長兼CEO(最高経営責任者)ら経営陣が主導。特別委は、経営陣とともに交渉に関与する。「提案やストラクチャーの比較を徹底的に行い、株主を含むあらゆるステークホルダーにとって最良の非公開化提案を特定する」としている。

 経営陣は並行して、新たな事業計画の策定作業も進め、6月の定時株主総会前に公表する予定だ。

 東芝は昨年11月にグループを3分割する案を公表していたが、複数の株主が反発。わずか3カ月で2分割案への軌道修正を迫られた。エネルギーなどの「インフラサービス」を本体に残す一方、半導体などの「デバイス」のみを2023年度下半期に分離・上場させ、それぞれの企業価値を最大化させる計画を示していた。