2022.06.01 【電波の日特集】 JVCケンウッド防爆・防じん対応業務用無線で原材料製造産業をサポート
一般業務用無線機(SR)「NX-230EX FT」
JVCケンウッドは、日々安定供給が要求されるエネルギーや原材料製造の産業をサポートする業務無線機の開発、販売にも注力している。重化学コンビナートなどの工業原材料製造、ガスや可燃性燃料の供給といった産業は、いったん、供給に問題が生じると、全産業に影響を与える。その反面、安定供給確保には、可燃性のガスや粉じんが生じやすい危険な環境で日々のメンテナンスが不可欠だ。この際、保守業務用無線通信をいかに安全に行うかが課題。このような条件下で活躍するのが、同社の販売する防爆・粉じん仕様の業務用無線機だ。
現在、同社は防爆・粉じん対応の無線機として、業務無線免許局(SR)用のVHF帯機「NX-230EX FT」、同UHF帯用「NX-330EX FT」を持つ。デジタル簡易無線免許局(3B)用には「NX-330EX CT」をラインアップ。特に同対応の3B無線機は同社しか販売していない。
同ラインアップの機器は、オプションのスピーカーマイク「KMC-76EX」も含め、「本質安全防爆・国際整合防爆指針2015認証」(IECEx/ATEX規格準拠)を得ており、「Exib IICT4 Gb(ガス)」および「Exib IIIC T110℃ Db(粉じん)」規格に対応。これらの規格は、場合によって可燃性ガスや粉じんが発生する環境で安全な通信を確保できるもの。これらの無線機には、危険な環境で業務を行う作業者を保護するための「エマージェンシー機能」(緊急ボタン、モーションセンサー、ローンワーカー)も装備されている。GPS受信機による位置管理にも対応しているため、設定を行えば、緊急ボタンを押すと、緊急通報と共にGPS位置情報を送出するなど、迅速な救助に結び付けることも可能。もちろん、同社で評判の高い、個別、グループ、一斉による選択呼出し機能や3万2767通りの高度なデジタル秘話コードも搭載。
防爆・粉じん対応機以外では、2021年9月に発売したデジタル簡易無線(3B/3R)シリーズ「TCP-D261」や「TPZ-D563」では、上位のブルートゥース対応型の販売が好調。ハンズフリーや将来提供されるオプションへの期待も大きい。
現在、各無線機器メーカーも半導体不足の影響を受け、製造に困難を抱えているが、同社は臨機応変に設計変更、対応するなど安定的な製品供給に努めている。さらに、海外の政府などへの販売・納入競争で培った高信頼・高品質を武器に24年11月末に迫る業務無線のデジタル移行とコロナ明けの国内市場もにらみ、これら特殊分野の無線機の市場でも存在感を示していく。