2022.07.01 【家電総合特集】三菱電機平岡利枝執行役員リビング・デジタルメディア副事業本部長

快適・便利・省エネに〝お得〟を追加

Webサイト開設やアプリ提案

 半導体や部品不足により、国内を中心に販売に影響した。猛暑に期待がかかる今夏だからこそ、製品供給の対応を急務と捉えて目標達成に向かいたい。

 コロナ禍で巣ごもりや在宅が定番化した。空気質を気にする人が増えたことと、電気代の値上がりから省エネ需要も高まった。

 空調機器では、換気と空調の連携を強化した。ルームエアコンでは、換気タイミングを人工知能(AI)が判断して通知する「換気ガイド」を導入。業務用では空調機器管理ツール「MELflo(メルフロー)」でサービスを提供している「AirCoNet(エアコネット)」に冷媒漏えい検知機能を新たに搭載するなど、サービスの充実に取り組んだ。

 住設関連では、リフォームやリニューアルを空調機器導入のチャンスと捉えている。衛生面を充実させたエコキュートの新製品も合わせて訴求する。

 家電製品も、さまざまな製品が誕生した。冷蔵庫はチルドルーム前の床に埋め込む「埋めちゃっタンク」を〝洗える〟タイプにして復活させたことで同じ設置スペースなのに大容量を可能にした。時代に合う製品だと自負している。50周年を迎えた炊飯器は、上海ロックダウンの影響で販売延期になってしまったが、少量でもおいしく炊ける新製品を開発した。家電は人々の生活に密着したジャンル。社会課題に貢献して、メーカーとして責任を果たしたい。

 快適、便利、省エネは、お客さまの課題解決には外せない項目。そこに、〝お得〟も加える活動に取り組んでいる。機器の提供だけでなく、家事の支援を行うべく、生活情報などを提供するWebサイト「くらし×おトク+サイト」を開設した。

 現在は、レシピサイト運営のNadia(ナディア)と連携した三菱家電を使いこなすプロの料理家レシピの配信や、Oisix(オイシックス)のフードデリバリーサービスなどを行っている。

 今後は家事代行サービスなどメーカーだけではできないことをプロの力を借りながら提供したい。このサイトは新規客の入り口で、メーカーが直接ユーザーとつながるための機会になる。登録者数を増やして育てていきたい。合わせて、IoT対応した家電や住設機器を連携するためのIoT基盤「Linova(リノバ)」や家電の統合アプリケーション「MyMU(マイエムユー)」の訴求にも努める。アプリの使い勝手は、メーカーとしての価値の見せどころになると考えている。

 今年の夏商戦は、日々課題はあるものの、製品の供給をしっかり続けていく。ロックダウンや為替の影響で先々は不透明だが、的確に情報を捉えて迅速に対応する。マーケットに近い場所で生産する「地産地消」を取り入れて、環境問題や地域貢献も考えた製造を行っていく。メーカーとして先を見据えた行動が重要だ。

 全社としては、カーボンニュートラルの実現に貢献するソリューション提案を重視していく。