2022.07.01 【家電総合特集】ホームシアター立体音響が拡大・普及、店頭体験コーナーも増加

店頭で立体音響を体験できるようにもなってきた

 高精細4Kテレビの拡大とともにより臨場感のある音を楽しむ需要も増えてきている。 テレビメーカー各社は大画面に負けない迫力ある音づくりを進め、テレビのスピーカーシステムで映画館のような音が体験できるようにもなってきた。最近は立体音響の規格に対応したコンテンツも増えてきている。映画館のような音響が身近にもなりつつある。

 家庭で映画館のような音を実現するにはホームシアターを構築するのが一般的。ドルビーデジタルによる前方左右2スピーカー、前方中央スピーカー、斜め後方左右2スピーカーに低音のウーハーを組み合わせた5.1chが主流だ。

 ただ本格的なシステムはスペースの確保も大変なため、最近はデジタル技術を使い仮想的に後方からの音を再現するデジタルサラウンドが普及し、テレビ前方に置く「サウンドバー」と呼ぶ棒状のスピーカーで実現できるようになってきた。前方の左右2スピーカーと低音のサブウーハーによる2.1chサラウンドが一般的だ。壁などに音を反響させデジタル処理で臨場感を出す。テレビ内蔵のサラウンドも同様のデジタル技術を駆使している。

 さらに最近は5.1chなどのサラウンドシステムではなくオブジェクトベースオーディオが浸透してきた。ここ1~2年はオブジェクトベースの立体音響が一気に拡大してきている。これまでのスピーカー数をチャンネルごとに割り当て駆動する「チャンネル」型オーディオに対し、オブジェクトオーディオは、映像内の対象物(オブジェクト)の動きに合わせて音を割り当て、スピーカー数を多くすることでより臨場感を出せる。

 オブジェクトベースオーディオの一つに2012年にドルビーラボラトリーズが発表した最新のシネマ音響「ドルビーアトモス」やDTSのマルチチャンネルオーディオ技術「DTS:X」などがある。天井にスピーカーを設置し立体音響を実現するケースや上向きのスピーカーから、音を出し天井に音を反射させて臨場感のある音場を実現するものなど幅広い。

 オーディオメーカー各社はこれらに対応するAVアンプを用意するとともに、オブジェクトオーディオを体感できる展示実演をする量販店や専門店も増えてきた。まずは臨場感のある音場を体感できる売り場で、新しい音の体験をしてもらう機会を増やせるようにすることが重要だ。