2022.07.22 【家電流通総合特集】地域電器店 下半期の展望節電提案

白物家電の省エネモデルの販売に力を入れる(カノデンキ)

HPでも節電対策を提案(グッドライフ長栄店のHP)HPでも節電対策を提案(グッドライフ長栄店のHP)

電気のプロとして提案、細かなポイントなど情報発信

 電力需給のひっ迫で、国や電力事業社が消費者に節電を呼び掛けていることを背景に、電器店でも使っている商品の節電方法を提案するケースが増えている。「電気のプロ」として、さまざまな商品で節電できるポイントを伝え、細かな提案を推進している。

 東芝ストアーのカノデンキ(福岡市東区、古藤充社長)は、節電や電気代高騰への意識付けを図りながらエアコンや冷蔵庫といった白物家電の省エネモデルの販売に力を入れている。「お客さまの間でも電気代への意識が高まっているように感じられる」と従業員の松岡義展さん。同店ではLINEやチラシによって、省エネ商品についての情報発信を進めてきた。

 店舗でも商品使用時の電気代や、現在の電気代がどれほど高騰しているかが一目で分かるPOPを展開。店内の照明の一部も消すなど客が電気代や節電に関心を持てるようにして、省エネ商品の必要性を訴えてきた。

 5月からは見込み客を100件に絞り、エアコンの超省エネモデルをDMで重点的に提案する取り組みも進めた。その結果、19台の成約があるなど効果が出た。松岡さんは「超省エネモデルは初期費用こそ高いが、電気代まで考えるとお得だ。10年間の総コストを意識したお買い物を提案している」と話す。

 パナソニック系のあい電ダイワ・一番館店(山形県酒田市、加藤誠社長)では、電気料金の値上がりに合わせ、電気料金シミュレーションを行いながら、顧客に電気の契約プランの見直しなどを図っている。

 携帯電話などは機種変更などに合わせて料金プランを見直しするケースが多いが、電気料金については同居している家族が独立するなどで少なくなっても、初めに契約したままの料金プランで継続しているケースが多くみられる。石油給湯機、ガスを使用している家庭には、エコキュートやIHクッキングヒーターに変更して、光熱費を一本化することを進めている。

 加藤社長は「先を見越してお客さまにより良い生活提案を心がけている。個展などでもいろいろお客さまの困り事や不具合などを聞きながら対応している」と話す。

 パナソニックショップのグッドライフ長栄店(大阪府寝屋川市、下牟田秀人社長)は、顧客に対し家電製品の節電方法を具体的に教えている。

 下牟田社長は「冷蔵庫であれば、冷凍庫内はできるだけ食材を詰めて効率よく冷やす、冷蔵庫内は詰め込み過ぎず、冷気を効率よく循環させる、冷蔵庫と壁の間隔を開けて放熱の効率を高めるなど、節電の方法を提案している」と話す。

 また、エアコンであれば、設定温度を1度だけ上げる、頻繁にオン、オフをしない、フィルター掃除をこまめに行うなど、熱中症対策をしながら節電するポイントもホームページで説明している。下牟田社長は「売りも大切だが、節電方法など直接売りにつながりにくいことも提案する。丁寧な対応を心掛けることで将来の売りにつながる」と話す。

 マルエでんき(東京都荒川区、江城一社長)は、省エネ促進の一環として、照明器具や電球を買いに来るお客にLED照明への交換を薦めるよう心掛けている。

 LED照明への交換は、消費電力の大幅な抑制につながる。省エネ・節電意識の高まりからLEDに交換したいというお客は多い。

 半面、「LEDの器具は、蛍光灯などに比べて一部高価なものもあり、購入に二の足を踏んでしまうお客さまもいる」と江城社長。ただ、省エネ促進にLED化は必須と考え、同店の照明をLEDに切り替えているところだ。LED化した店内照明で、客への訴求力を高めたい構えだ。

 また、江城社長は「電球タイプは種類が豊富で安く手に入る」と話す。LED電球はさまざまなタイプが製品化され、これまでと同じように電球交換だけで済むため、LEDに切り替えやすい。照明器具だと工事を伴うケースがあるため、ためらう客もいるが、LED電球であれば手軽に省エネが図れる。

 新たにLEDを求める客には、シーリングライトを勧めている。電球と同じように交換するだけで良く、リビングなどのメイン照明としても使えるからだ。さらに「LEDシーリングライトはちかちかせず、目にも優しい」(江城社長)とし、あかりの質の高さも提案に生かしている。

 パナソニックショップ、でんきランドハセガワ(福井県永平寺町、長谷川英治社長)は、ホームページ上に「こどもみらい住宅支援事業」ポスターを掲載し、訪問の際の声かけ、問い合わせの受け付けを行っている。

 支援事業に注力した取り組みは、同店が参加し福井県内10店舗で作られる「でんきランドグループ」各店でも一斉に展開している。

 ホームページでは子育て世帯だけでなく、幅広い世帯でのリフォーム助成が対象になる点を訴求している。最大30万円を上限に補助金が受けられるこの事業は、夏場のエアコン提案の際に、そのほかのリフォーム商材を提案する切り口として、空気清浄機能付きエアコンの成約からエコキュートなどのエコ住宅設備の設置提案へとつながる。

 事業の周知をスタートした同店では「当店はパパママ店で人手が不足することもあるが、このような事業を活用すればお客の関心を集めることにもつながるだろう。メーカーにも協力を仰ぎ、リフォーム案件につなげていけたら」(長谷川社長)とし、前向きな姿勢をみせている。

 電気代高騰、国からの節電要請。電気にまつわる環境は厳しい状況が続いている。街の電器店は、顧客が使用する家電製品や使用環境を把握しながら、最適な商品提案や節電に関するアドバイスを行っている。商品では、最適な節電に関する商品を提案。また、節電方法を顧客に紹介するケースが増えている。全国の有力店に省エネ商品の提案方法、節電方法の提案手法などを聞いた。