2022.09.01 デジタル庁発足から1年 日本のDX推進へ実行力が問われる局面に

経済同友会の櫻田謙悟代表幹事らと面会する河野太郎デジタル相(右奥)=8月、東京都千代田区

 デジタル政策の司令塔を担うデジタル庁が9月1日、発足から1年を迎えた。8月10日発足の第2次岸田改造内閣で3代目のデジタル相に就いた河野太郎氏は、新型コロナウイルス禍で露呈した日本のデジタルトランスフォーメーション(DX)の遅れを取り戻す決意を表明し、就任早々に持ち前の突破力を見せた。デジタル社会にふさわしくない規制を一掃し、DXの恩恵が実感できる社会づくりをどこまで前に進められるか。同庁の実行力が試される局面に入る。

 河野氏は就任から間もない8月下旬、寺田稔総務相らと経団連や経済同友会を相次ぎ訪問。両団体に対して、デジタル社会の基盤「マイナンバーカード」の普及と利用促進に向けて協力するよう要請した。

 経済界からの期待を背に河野デジタル相は、8月30日の記者会見で、国会に提出される法案がデジタル原則に適合しているかを審査する「デジタル法制審査チーム」を立ち上げたことを明らかにした。チームは同日、同庁が務めるデジタル臨時行政調査会事務局に設置。今秋の臨時国会に提出される法案から適合性の確認を行う予定だ。

 河野氏は会見で「新しい法令にアナログ規制が間違っても入ることがないようにしっかりと対応したい」と強調。デジタル化を阻む規制を置き換えられる民間技術の活用を促し、経済成長につなげることにも意欲を示した。

 来年には日本で、先進7カ国首脳会議(G7サミット)が開かれる。それに先立つデジタル・技術大臣会合も予定されており、日本が提唱した「DFFT(信頼性のある自由なデータ流通)」を巡るルールづくりなどに焦点が当たる見通し。デジタル分野で国際的なプレゼンスを高める観点からも、同庁の主導力が試されそうだ。