2022.11.04 【冷蔵庫特集】セカンド冷蔵(冷凍)庫のニーズ拡大

内食化が進み、買い替え需要を中心に堅調な需要が続く

 冷蔵庫は、コロナ禍で在宅機会が高まり、まとめ買いが増え、大型タイプが伸びている。冷凍食品の需要が高まったことから、冷凍機能の進化など、顧客ニーズに対応した商品開発が活発だ。近年ではライフスタイルの多様化に伴い、セカンド冷蔵(冷凍)庫のニーズも拡大している。また内食化が進み、食材の鮮度保持技術の向上、より豊かな食生活実現のためのIoT化など、新たな価値創出にも各社力を入れている。

 冷蔵庫は、鮮度保持性能や冷凍技術がより進化し、顧客の困り事に応える特長をふんだんに盛り込んだ商品戦略が活発だ。

 大容量化が進むとともに、冷凍も含めた鮮度保持性能の進化に加え、省エネ性能の追求、さらにはIoT化による使い勝手の向上など、より商品の利便性が高まっている。

 特にコロナ禍で内食化が進展したことで、家庭で調理をする機会が増えたことにより、冷蔵庫の使用頻度もコロナ禍前に比べて大きく伸びている。このため、省エネ性能への関心も高まり、近年の電気代高騰を受けて、今後は節電対策に向けた提案も重要になる。

 断熱性能の向上、人工知能(AI)やIoT機能を使った賢い省エネ制御など、各社は工夫を重ねて省エネ性向上に力を入れている。

 内食化が進んでいることから、おいしさ志向と調理の効率化につながる機能も重視される。急速冷凍技術による新鮮保存で、食材のおいしさをより長持ちさせるほか、微凍結で解凍の手間をかけない新鮮保存など、機能開発が活発だ。

 IoT技術を使って、食材の管理ができる冷蔵庫も登場、これによって買い忘れはもとより、食品ロス削減にもつなげるなど、環境配慮の視点まで広げた商品戦略にも力が入る。

 ■買い替え需要が高まる

 冷蔵庫は、買い替え需要に支えられ、毎年ほぼ安定した需要が見込める。コロナ禍に見舞われた2020年度については、巣ごもり需要によってまとめ買いが加速し、特別定額給付金の効果も後押しして、大型冷蔵庫が好調に推移して前年を上回る出荷台数となった。

 日本電機工業会(JEMA)のまとめによると、20年度の需要は前年度比101.3%の392万台となり、このうち401リットル以上の大型冷蔵庫は同104.4%の180万台と好調だった。21年度は、前年度比95.0%の372万5000台となって、2年ぶりのマイナスとなったものの、まとめ買いや家庭での食事機会が増えたこともあって、501リットル以上の大容量タイプは前年度を上回った。

 22年度上期(4~9月)は、ほぼ横ばいで進ちょくしている。JEMAの出荷統計によると、前年同期比99.9%の197万7000台だった。このうち全体の4割強を「401リットル以上」の大型タイプが占めている。

 冷蔵庫の買い替えサイクルは10年程度とされ、10年度にはエコポイント特需があったことから、当時購入された冷蔵庫の買い替えサイクルを迎えている。22年度も安定した需要が見込めそうだ。

パナソニックの主力製品

IoT対応NR-F658WPX/608WPX

「はやうま冷凍」機能搭載

「はやうま冷凍」搭載最上位モデルのIoT対応冷蔵庫WPXシリーズ

 パナソニックは、「はやうま冷凍」搭載最上位モデルのIoT対応冷蔵庫NR-F658WPX(650リットル)/F608WPX(600リットル)を主力商品として提案する。

 はやうま冷凍は、最大氷結晶生成帯を30分以内に通過して素早く冷凍できる業務用レベルの急速冷凍機能。通常冷凍に比べ、肉や魚の解凍後のドリップを抑え、ジューシーで柔らかさを保った冷凍保存ができる。

 肉や魚を冷凍すると、食感の悪化や、ドリップの流出によるうまみの減少が起こる。はやうま冷凍は、大風量の「集中シャワー冷却」とアルミプレートによって最大氷結晶生成帯を30分以内に通過し、素早く冷凍。解凍時のうまみ成分の流出を抑え、食品の食感、水分、香り、色味、栄養素の保持に加え、おいしい冷凍保存を実現する。

 同社は01年から、同志社女子大学・西村公雄特任教授と「凍結速度と食品のおいしさとの関連性解明」を目的とした産学連携プロジェクトを実施。食品の冷凍保存に関する共同研究に取り組んでおり、ここで得られた知見を機能開発に生かしている。

 ■「クイック冷凍ボタン」搭載

 WPXタイプでは、はやうま冷凍の設定を、より効率よく便利に操作できる「クイック操作ボタン」を、冷蔵室ドアの下側に搭載する。弁当のあら熱取りなど、クーリングアシストルームを使った冷やす調理もより便利に使える。

 このほか、IoT対応家電のメンテナンスや修理が便利になるサービス「Panasonic Care(パナソニック ケア)」に対応する。

 給水タンクの水不足や、はやうま冷凍などの動作状況を、スピーカー搭載家電(テレビ、ポータルテレビ、ロボット掃除機)から音声で知らせる「音声プッシュサービス」や、食品の残量管理で無駄のない買い物をサポートする「ストックマネージャー」も搭載する。

 ■節電も上手にアシスト

 電気代高騰の折、家庭で電力消費がエアコンに次いで多い冷蔵庫では省エネにも関心が向く。

 WPXシリーズでは、各部屋の使い方・運転状況を見極める七つのセンサーにより、自動で賢く節電するほか、スマートフォンの位置情報と連携することで、最適な運転モードを提案するなど、節電アシスト機能が充実している。

 同社では11月から1月10日まで冷蔵庫専用アプリ「Cool Pantry」に接続し、アプリ内「電気代削減額」が1円以上の場合、漏れなく「えらべるPay3000円分」がもらえる節電キャンペーンも実施中だ。