2020.01.31 【20年 我が社の戦略】IDEC 舩木俊之会長兼社長

舩木会長兼社長

持続的成長と企業価値向上へ

 IDECは11月に創業75周年を迎える。グローバルビジネスのさらなる拡大やグループ間の連携強化、グローバルでの経営品質の向上を推進する。同時に高収益企業への変革に向けた体制強化を図る。

 「創立75周年の22年度に営業利益率15%以上を目指し、真のグローバル企業となり、持続的な成長と企業価値の向上を実現していく」と話す舩木俊之会長兼社長に戦略などを聞いた。

 ―市況は底を打ったという話が出てきています。

 舩木会長兼社長 当社で言えば、昨年の11月が底で少し上がってそのまま平行線の状態だ。中国はまだ良くないし、工作機械もスローな状態だが、少し頑張れば計画した業績はいけるかなという感じだ。

 グローバルベースで昨年4、5月から価格改定を行い、8月から利益率の改善が見え始めてきた。フルに見えてくるのがこの下期だ。商品の統廃合もかなり進めている。棚卸在庫もアペム社を入れて140億円あったが、だいぶ消化できてきた。

 ―力を入れておられるのは。

 舩木会長兼社長 一番強いヒューマン・マシン・インターフェイス(HMI)と安全のところで製品群を拡充している。マーケットは伸びていなくても、シェアアップで伸ばしていかなければならない。営業利益を確保し、コストダウンを頑張って体力をつけることが重要だ。

 14年にコーネット(現IDECファクトリーソリューションズ)、16年にアペム社、17年にウェルキャット(現IDEC AUTO-ID SOLUTIONS)、18年に東京センサ(19年4月にIDECに吸収合併)と、買収した企業とのシナジー効果も着実に出てきている。

 アペム社とは製品群、顧客も違い、互いの販売チャネルでそれぞれの製品を販売している。これにより、欧州のIDEC売上げは2倍になった。

 欧州では物流倉庫も一本化した。コンピュータシステムも欧州は既に統一し、米国は12月に統一した。中国も近く一本化する。開発から販売まで全て一緒にやっていくOne IDECで取り組むことが大切だ。

 ―楽しみですね。

 舩木会長兼社長 IDEC AUTO-ID SOLUTIONSは、3月にIDECに吸収合併する。東京センサのテープスイッチはロボット、AGVなどの安全用に使われている。ほとんど日本だけで販売していたが、グローバルに販売していく。

 IDファクトリーソリューションズは、盤内機器ソリューションと協働ロボットで大きく伸ばせる。特に協働ロボットは自動車業界からの引き合いが増えている。

 19年3月に戦略的パートナーシップ契約を締結したワイドミュラー社のワンタッチで取り付けが可能なプッシュイン技術を、サーキットプロテクタやスイッチング電源にも共同して展開していく。ワイドミュラー社と共同開発しながら、盤内革命を起こしていく。

 ―中長期経営計画に弾みがつきますね。

 舩木会長兼社長 想定外の米中貿易摩擦などがあり、22年度売上高1000億円、営業利益率15%以上は仕切り直しだが、営業利益率15%以上はこだわっていく。

 体力づくりをしっかりやり、アペム社のような良い会社があれば買収していく。HMIと安全をコアにしてグローバルで売上げを伸ばしていく。

 英語を必要とする部門は英語を公用語にするなど、真のグローバル企業となり、持続した成長を続けられるようにしていかなければならない。