2023.11.15 【Inter BEE特集】 松栄電子研究所〈紙上参加〉 国内放送局向けに開発・販売 遠隔監視制御システムなど

クラウド対応の遠隔監視制御装置MARSシリーズ

 松栄電子研究所(愛知県豊明市、王焱社長)は、国内の放送局向けに、遠隔監視制御システム、CNモニター、送信所リモコン装置などを開発・販売している。

 自社開発できるのが強み。放送中継局用の遠隔監視制御システムは、北海道や東北、九州などを中心に、民放テレビ・ラジオ局、FM局など20社以上で納入実績がある。

 民放の中継局は、地上デジタル放送に完全移行した2006年から11年までに設備改修された。

 耐用年数は約15年とされ、現在リプレース需要がピークを迎えている。

 26年3月、NTTドコモのFOMA(3G)終了に伴い、中継局のシステムの改修が本格化している。

 放送局がサーバーを持つ必要がなくなり、4Gや5G対応の通信設備によるクラウドデータセンターの利用が増加する見込みだ。

 また、FM局の中継局も、山の陰で電波受信に影響を受ける局が多いとされ、遠隔監視制御システムの導入を提案していく。

 遠隔監視制御「MARSシリーズ」は端末とサーバーシステムを新規に開発。電子回路やCPUボードなどのハード・ソフトまで自社内で製作しており、拡張しやすい。

 サーバー側のクラウド対応Webシステムも自社開発であることから、同社で管理・保守でき、放送局でのサーバーの管理・保守作業が不要となり、負担を軽減できる。

 主な特徴は①接点監視・自動通報が可能。送信機に異常があった場合LEDが点灯する②LAN経由の監視制御に対応。各メーカーの送信機に対応できカスタマイズも容易③共同監視も可能④送信機のパソコンだけで表示できる機能を今年度中に実装する予定⑤クラウドにもオンプレミスにも対応できる--などが挙げられる。

 長野・沖縄の放送局など数十台を順次出荷している。

 設置先からは「簡単に実装できた」「監視状態を大量の接点で出力するカスタマイズもできた」「メンテしやすい」といった声が寄せられている。

 電波モニターはDTSインサイト(旧横河電機)製と同社製CMモニター。中継局からのデータは、データベースに保存する。移行も受け付けている。

 ほかにも、地下タンクテスタや医療介護関連機器の研究開発もしている。