2023.11.15 【EdgeTech+特集】ニチコン 小形リチウムイオン二次電池「SLBシリーズ」 IoT市場に提案

小形リチウムイオン二次電池「SLBシリーズ」

 ニチコンは、サイクル長寿命、微弱電流充電、安全性において優れた新しいコンセプトの蓄電デバイスの小形リチウムイオン二次電池「SLBシリーズ」をIoT市場に向けて提案を進めている。

 SLBシリーズは、負極にチタン酸リチウム(LTO)を採用し、電気二重層コンデンサーに迫る高い入出力密度を実現。20Cレートでの急速充放電に対応可能であり、数万サイクルもの充放電を繰り返しても容量劣化が小さい耐久性を有している。

 環境対応面でも一般的なリチウムイオン二次電池では対応困難なマイナス30度環境下でも動作が可能。室内光発電や振動発電といった環境発電における微弱電流充電に対応する低レート(0.01C)での充電性能を有する。短絡や劣化の原因となるリチウム金属の析出が発生しにくいことで、発煙・発火の危険性が極めて低い。φ3.3、φ4サイズ品を追加し、定格拡大により、高容量化、小型化ニーズに対応。IoT向けの主電源およびバックアップ電源用途に適している。

 また、SLBシリーズの設計を後押しする評価ボードの販売を今年から始めた。評価ボードにSLBシリーズを挿入し、室内光発電や振動発電などの発電デバイスを接続することで簡単に環境発電による電源を構成できる。評価ボードにはパワーマネジメントICを内蔵。使用する発電素子に合わせて電力収集効率を最適化できる機能を装備。2系統の電源出力を備えているため、アプリケーションに最適な使い分けも可能だ。

 環境発電を活用したメンテナンスフリーなワイヤレスIoTエッジデバイス実現や、ハイレート放電特性と繰り返し充放電に強いサイクル特性を生かしたデータ通信用途などにも適する。

 老朽化が進む橋などのコンディションを把握するインフラモニタリングや、使い捨ての一次電池が主流の電子棚札、環境センシングなどにも有望な蓄電デバイスとして注目されている。