2023.11.17 町工場の女性社長の人生から落語が誕生 「こーばへ行こう!」で披露

トークセッションの様子。左から今井さん、月亭さん、小宮路社長、草場実行委員長

小宮路社長をモデルにした落語「あかん箱」を披露する月亭さん小宮路社長をモデルにした落語「あかん箱」を披露する月亭さん

 大阪府東大阪市の製造企業などが参加するオープンファクトリー「こーばへ行こう!」(以下、「こーば」)で17日、町工場の女性社長の人生から生まれた落語「あかん箱」が披露された。モデルとなったアートステージ(大阪府東大阪市)の小宮路すえこ社長(74)や落語家・月亭天使さんを含めたトークセッションも行われた。

 落語の仕掛け人となったのは、「こーば」実行委員会の草場寛子委員長(盛光SCM社長)。構成作家の今井洋之氏とともに小宮路社長のすさまじい人生を聞く中で、その運命に屈しない強い思いや人情味を落語に落とし込み、さまざまな人に知ってもらいたいと思ったという。

 小宮路社長は26歳で「駆け落ちするように」(小宮路社長)結婚。2児に恵まれたが、32歳の頃に夫を、その10年後に当時16歳の長男を交通事故で亡くした。

 女手一つで幼子を育てるため、町工場へ勤めに出て粉骨砕身した。そこで薫陶を受けた雇い主の社長が急逝。役員として社員の生活を守るために一人で借金返済に奔走したこともある。

 47歳でアートステージの社長に。小宮路社長は「下を向いても仕方がない、上を向いて頑張らないと、という気持ちで生きてきた」と振り返る。

 草場実行委員長は「小宮路社長の現在までのストーリーを語ると、聞いた人は皆、ご本人に会いたいと言う。モノづくりのまち、東大阪では、町工場のみならず社長自身まで観光資源になる。町工場とエンターテインメントを組み合わせ、より多くの人に関心を持ってもらいたい」と語った。