2024.01.17 船井電機・柴田雅久代表取締役会長に新年の方針を聞く トップ営業・企業風土改革に注力

柴田 会長

2刀流、3刀流にしっかり挑戦したい

 船井電機・ホールディングス傘下の事業会社である船井電機では、昨年8月に営業力強化に向けた組織再編を行った。

 新設した営業本部では、昨年7月に就任した柴田雅久代表取締役会長が営業本部長を兼務し、営業力強化を目指すべくトップ営業に力を入れ、企業風土改革にも全力で当たった。

 柴田会長は、新組織発足以降の手応えについて「過去、船井電機がボリュームの大きいビジネスを展開させていただいたこともあったが、近年後手に回ったのは、マーケティング・営業力が欠けていたためだ。(営業本部長を兼務することになった)8月以降、お客さま訪問すると、前向きにやっているという反応を頂けるようになった」という。

 「すぐにビジネスが拡大するということではないが、お客さま第一の風土が浸透すれば、お客さまにも伝わる。既存のルートを含め、新しい商材、間口を開拓し、売り上げを伸ばしていくことは可能だ」と話す。

 「私自身が過去培ってきた人脈もフル活用し、コツコツと着実に進めていく」とともに、「社員の意識も大きく変化している」と捉えており、次の飛躍に向け、さまざまな打ち手を講じていく。

 現在、同社ではさまざまな施策に着手している。「家電量販以外の販売チャンネルと非AV機器分野でのビジネスモデル構築を進めている」と話す。また「ヤマダホールディングスグループともAV機器以外でのビジネス展開を推進中だ」という。

 米国での液晶テレビ事業についても、「40V型、70V型と2機種を追加投入した」とし、インチバリエーションをさらに拡充させ、販売拡大に取り組んでいる。

風通し良く

 2024年については「生き生きと従業員が前に進める会社にしていきたい。事業は人が基本であり、人を大切に、従業員を尊敬し、従業員も船井電機を尊敬できるようでありたい。そのためにも風通しの良い企業風土にしていく」考えだ。従業員とのコミュニケーションも深めながら、「従業員とともに成長していく」と話す。

 風通しの良い企業風土改革に向け、社内での人材の流動化も加速するという。「船井電機は人の動きが今まであまりなかったので、これでは風通しが良いとはいえない。組合とも話を進め、社内での人事交流も深めていく。技術から営業へ、技術から品質へと、他部門も経験し、風通しを良くしていく。スペシャリストは大切だが、ゼネラリストも必要だ」と認識している。

 事業的には「今は種まきをして水やりの段階だが、25年度以降刈り取りを図っていく。その感触はつかめている」という。

 同社では、従来の液晶テレビの製造販売を中心とするAV事業に依存する事業構造から多角化した事業構造への変革を目指しポートフォリオを変えていく。「2刀流、3刀流にしっかり挑戦していきたい」とし、着々と基盤強化を進めている。