2020.04.10 日立、新型コロナで3月期決算発表5月中旬に 財務基盤は安定

 世界で猛威を振るう新型コロナウイルスが世界経済に影を落とす中、日立製作所は10日、感染拡大への対応状況をまとめて公表した。

 例年、4月下旬以降のゴールデンウィーク(大型連休)前に行っていた20年3月期連結決算の発表時期は5月中旬以降にずれ込むと発表。感染拡大の影響で、海外子会社などの決算手続きに遅れが生じているという。事態の長期化に伴う企業の資金繰り難が懸念される中、財務基盤が安定している現状も報告した。

 この中で日立は、22年3月期を最終年度とする中期経営計画にも触れ、今後も日立グループの収益力強化に向けた事業再編を推進する方針を示した。

 既に上場子会社の日立化成などの売却を発表し、傘下の自動車部品メーカーとホンダ系3社との統合も決めた。

 IoT基盤「ルマーダ」主軸のデジタルソリューション事業による成長戦略を展開。新型コロナ後の新たな経営環境を見据えて、「計画を進化させる」姿勢も強調した。

 さらに日立は、昨年末時点の連結で現預金を含めて約6945億円の手元流動性を確保していると報告した。

 既に3月には、総額2000億円の無担保普通社債を発行すると発表。調達する資金はM&A(合併・買収)などの成長投資に充てるという。

 3月末時点で、複数の金融機関との間で締結しているコミットメントライン(融資枠)契約額は、全額未使用のまま5000億円を維持しているという。

 一方、政府の緊急事態宣言を受けて日立は、在宅勤務の状況を調査。東京都を中心とする主要な拠点では、約8割の従業員が出社を控えている現状が分かった。

 既に、宣言の対象となる7都府県に構える事務所で「原則在宅勤務」を徹底するなど、同社グループの従業員や家族らの安全確保を最優先に感染拡大の防止策に取り組んでいる。

(電波新聞紙面では4月14日付で掲載します)