2024.07.09 【家電総合特集】ルームエアコン 省エネ機種に高い関心 清潔性や快適性の向上にも

エアコン商戦では省エネ性に優れた機種が関心を集める

 ルームエアコンは、電気代高騰による節電意識の高揚を背景として省エネ性への関心が高まっており、近年は夏商戦本番でも付加価値の高い省エネエアコンの実需が良くなっている。

 エアコンに関しては電気代高騰にとどまらず、2050年カーボンニュートラル実現に向け、中長期的に省エネ向上が求められる。家庭における電力消費の最も多い機器だけに、今後の各社の商品開発でも、大きなテーマであり続ける。

 また、エアコンではこうした省エネ性はもとより、清潔性や快適性の向上も同様に重要な開発テーマで、各社の商品戦略は活発だ。

 ■24年度に入って市況も活発化

 エアコンの出荷台数は、23年度が前年度比96%の877万台と、7年ぶりに900万台を下回った(日本冷凍空調工業会〈JRAIA〉調べ)。

 23年夏の場合、平均気温は統計開始(1898年)以来最も高かったものの、暑さの到来が遅れたことや前年が好調だった反動もあり、通期での出荷が伸び悩んだようだ。

 24年度に入ってからは一転して出荷は好調に推移している。4月単月での出荷台数は前年同月比18.8%増となり、5月も同じく16.1%と2カ月連続して2桁伸長で推移する。

 4月、5月とも、単月ベースで過去10年の平均を上回るなど、出足は好調だ。全国的に気温が高かったことや、早期試運転推奨の活動などもあって、高い水準でのプラスとなっている。

 内閣府の統計によると、エアコンの一世帯当たりの普及台数は3台弱で普及率は91%強と高く、新設や買い増し需要もあるが、多くは買い替え需要が市場を支えている。

 エアコンの買い替え期間は、13.5年(内閣府)で、10年以上前に購入した機器が買い替え時期を迎えているケースも多く、潜在的には買い替え需要は高いものがある。

 エアコンは、消費増税前の駆け込み需要で13年度に942万台(JRAIA調べ)とピークとなっており、市場には買い替え時期を迎える多くのストックが残っている。最新モデルの省エネ性などを訴求し、買い替え需要の喚起が重要だ。

 また、コロナ禍を経て、ユーザーの空気質への関心も高まっており、エアコン内部をクリーンに保つ技術も進化、また空気浄化技術の搭載、気流制御技術の進化による快適性向上など、さまざまな視点で製品開発に力が入っている。