2024.07.09 【家電総合特集】オーディオ 幅広い層に良い音体験 イベントなどで接点活動に力

良い音を求める人は多い(写真はOTOTEN2024)

 オーディオシステムは、新型コロナウイルス禍の〝巣ごもり〟需要で関心を集めたものの外出機会が増えるとともに落ち着きをみせている。国内オーディオ市場はオーディオ愛好家らの底堅い需要に支えられながらも、裾野が十分に広がっていないのが課題になっている。半面で、オーディオ各社が高音質化に向けて技術開発をした製品群への関心は高く、オーディオ関連イベントへの来場は堅調だ。より幅広い層に良い音を体験してもらう場づくりが市場成長の要になりそうだ。

 2023年のオーディオ関連機器の出荷は前年比2.8%減の706億円となり、22年にわずかに前年を上回ったが再び減少に転じた(電子情報技術産業協会〈JEITA〉)。直近の5月はシステムオーディオが前年同月比13.9%減の5万6000台だったが、アンプが同31.6%増の4000台で4カ月連続増だった。4月に久しぶりにプラスになったスピーカーシステムやステレオヘッドホンは再び減少している。

 Hi-Fiオーディオや高級ヘッドホンなどは愛好家らの根強い人気で下支えされており、ヘッドホンとイヤホン専門の大規模イベント「春のヘッドフォン祭2024」(主催=フジヤエービック)にも若者層をはじめ多くの来場があった。国内最大級のオーディオとホームシアターの祭典となる「OTOTEN2024」(主催=日本オーディオ協会)にも最新の機器を試聴しに幅広い年齢層が訪れた。ただ、まだ来場者は限定的で、さらに裾野を広げたいというのがオーディオ関係各社の願いでもある。

 音楽を楽しむ環境は多様化し、デジタルからアナログまで音源が多様化するとともに音楽を聴くシーンも広がりをみせている。インターネット経由で音楽配信ができ、CDよりも高音質なハイレゾリューション(ハイレゾ)音源が拡大していることもあり、手軽に高音質な音が楽しめる環境はできつつある。

 ハイレゾは業界全体で拡大に取り組んでおり、日本オーディオ協会が取りまとめているハイレゾ規格対応の製品展開も進む。主要オーディオ各社もハイレゾ対応のロゴを取得し、店頭でのアピールをしてきている。

 ■アナログレコードも拡大

 ここ数年はアナログレコードも需要が拡大。レコードは、CDとは違い原音に忠実な音の再現ができる。ハイレゾの普及でアナログレコードが再び注目され、市場は拡大している。

 オーディオ各社の音づくりへの挑戦は続いており、常に進化を遂げいる。この先もオーディオイベントなどが予定されているため、良い音に触れる接点活動をさらに強化していくことが求められる。