2025.03.18 英アームと提携、半導体設計強化へ マレーシアが2.5億ドル投資
マレーシア政府は英アームと提携
マレーシア政府は、英半導体設計大手アームと提携し、半導体産業の設計・開発分野を強化する。ラフィジ・ラムリ経済大臣が米ブルームバーグのインタビューで明らかにした。マレーシア政府は、10年間で2億5000万ドルをアームに投資し、半導体設計に必要な知的財産(IP)を利用する。
ソフトバンクグループ傘下のアームは、幅広い分野の半導体設計ライセンスを提供している。これまでマレーシアは、半導体製造の後工程が中心だったが、近年は設計・開発への投資を拡大している。今回の提携により、同国を半導体設計の「ハブ」に成長させる狙いだ。
5日の契約締結は首都クアラルンプールで開催され、アンワル・イブラヒム首相が立ち会った。ラムリ経済大臣は「マレーシア政府は半導体エコシステムを構築するという観点から、半導体設計のリーディング企業であるアームと協力する。今回の提携で、前工程への移行を加速できる」と強調した。
ラムリ経済大臣によると、現在マレーシアで主流の半導体後工程はサプライチェーン全体の10~15%しか占めておらず、逆に前工程はその60%を占めるという。各国が戦略的に半導体産業の経済支援を強化する中、マレーシア政府としても主導的に産業振興を加速させる方針を示した形だ。
今回の提携では、政府が25の新興企業と7つのサブシステムに対し、アームのIPライブラリーへのアクセスを提供する。これにより、少なくとも7~10社のチップ企業が誕生し、合計150~200億ドルの収益を生み出すことを見込む。長期的にはマレーシアのGDPに1%以上寄与する効果が期待されている。
<執筆・構成=半導体ナビ>