2025.03.21 【九州産業特集】九州計測器 製造業のDX化など計測器で解決
国際水素・燃料電池展にも出展
電子計測器の技術商社である九州計測器(福岡市博多区)は、国内外の計測器メーカーの販売代理店として九州を中心に活躍しているが、もう一つの特徴として技術部を持っていることが挙げられる。
これまで技術部では、計測器単体ではできないシステム化、それに合わせたオリジナルのソフトウエアなど、大学や研究機関向けの特注品などに対応。実環境空間表現ソフトウエア「Space Sight」など自社製品もある。
最近は工場での少人化、省力化を含め、製造装置の稼働状況を後付けで可視化するような需要、デジタルトランスフォーメーション(DX)化への第一歩といった仕事が少しずつ増えてきている。
活用する計測器は千差万別で、外付けで対応するには複数社の設備にまたがる場合、単独のメーカーでは対応できないことも。昔からの装置を長く使わざるを得ない状況の中で、設備変更はできないがデータを見える化したいというニーズは高い。
加えて働き手の環境と、電気代の上昇で省エネ、この三つがポイントだが、何をどうしたいかは漠然としていることがほとんど。さまざまなメーカーの製品を取り扱う商社ならではの強みを生かし、「現状把握、解決策を求めるための計測ということで、われわれの出番では」と、阿部宏和技術部長は顧客と一緒に課題に取り組み、一品から対応している。
見える化は予知保全にもつながり、さまざまな角度からデータを取り込み、どの切り口から見るかで原因解明や改善策につなげていく。顧客側はこれで成功すれば1ラインから工場全体への拡大も視野に入れており、現在話を進めている。
2月の「H2&FCエキスポ 国際水素・燃料電池展」で福岡県のブースに出展、自社オリジナルの水素漏えいの検知システムをパネル展示した。「今年は来場も多く、反応もよかった」(岩倉弘隆社長)と、早期から水素に関わってきた同社では水素漏えい検知システムに限らず、水素の全般の提案もできればと考えている。
熊本を中心に盛り上がっている半導体では、教育関係での実績を上げていることに加え、前工程から後工程まで幅広いニーズに向けた計測の提案へ、取り扱いメーカーのカテゴリーを増やしている。