2025.04.28 日立、3月期連結は主要3セクターが増収増益
日立製作所の2025年3月期連結決算は、デジタルトランスフォーメーション(DX)や脱炭素などのグリーントランスフォーメーション(GX)の追い風を受け主要3セクター全てで増収増益となった。
調整後EBITA(調整後営業利益+買収に伴う無形資産償却費+持分法損益)率とコアフリーキャッシュフローは過去最高を達成した。最終年度となった「2024中期経営計画」で掲げていた数値目標はおおむね達成。同日会見した加藤知巳執行役専務CFOは「利益率も向上し、ROIC(投下資本利益率)は初めて10%を超えた」と述べた。
デジタル分野の「デジタルシステム&サービス(DSS)」、エネルギーや鉄道の「グリーンエナジー&モビリティ(GEM)」、社会インフラなどの「コネクティブインダストリーズ(CI)」の主要3セクターは同14%増収と好調に推移した。注力しているデジタル事業「ルマーダ」では、GEMを中心に伸ばし、全体で同29%増となった。
今期連結業績は、米国相互関税政策の影響や戦略投資などを織り込むものの、DX/GXの成長機運は変わらない見通しを立て増収増益を目指す。新年度からは調整後EBITAの定義を「調整後営業利益+買収に伴う無形資産等の償却費」に変更した。米国関税リスクを調整後EBITAで300億円、最終利益で350億円織り込んだ。「サプライチェーンの見直し、他地域での拡販、売価転嫁などで対応していく」(加藤CFO)とした。
次のステージへ新中計を発表
また、2027年度(28年3月期)を最終とする中期経営計画「Inspire 2027」を発表し、27年度に調整後EBITA13~15%、ROIC12~13%、主力デジタル事業「ルマーダ」の売上比率50%、調整後EBITA率18%を目指していく。売り上げは年平均成長率7~9%を掲げた。
エネルギーなどの「エナジー」、鉄道などの「モビリティ」、産業向けの「コネクティブインダストリーズ」、DX関連の「デジタルシステム&サービス」の4事業を、米、欧、アジア、インド、日本、中国のグローバル6極で展開する考えで、ルマーダをさらなる成長のドライバーにしていく計画だ。
德永俊昭社長兼CEOは「持続的に成長して日立を次のステージに引き上げる」と力を込めた。