2025.05.12 不妊治療の相談をいつでも 日本IBMとクリニックが生成AI活用のチャットボットアプリを開発

浅田レディースクリニックと日本IBMはチャットボットアプリを開発した

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 名古屋市などで婦人科医療を提供する浅田レディースクリニックと日本IBMは、生成AI(人工知能)で不妊治療の質問に答えるチャットボットのウェブアプリ「チャットボット浅田せんせい」を共同開発し、12日にインターネット上に公開した。両者はアプリを通じて、不妊治療で悩む人やその家族を応援したい考えだ。

 今回のアプリには、生成AIに検索を組み合わせる「検索拡張生成(RAG)」アーキテクチャーを採用した。同クリニックで蓄積した不妊治療に関する知識に基づき、ユーザーの質問に関する情報を取得し、信頼できる回答を導き出してくれる。

 具体的には、1995年に精巣と精子を用いる体外受精の一種「ICSI(卵細胞質内精子注入法)」による日本初の妊娠例を成功させた浅田義正理事長の不妊治療に関する知識をベースに、アプリを構築。不妊治療で悩む人らがいつでも、無料で問い合わせできるようにした。

 アプリは、不妊治療に関する一般的な質問に加えて、同クリニックの独自治療に関する質問にも対応できる。回答の根拠になった情報源を提示することで、安心して利用できるようにしたい考えだ。

 日本で体外受精や胚移植などによる不妊治療の実施件数は50万件以上。治療を受けていない潜在的な不妊の患者はそれ以上に上ると想定されている。 

 ただ、不妊症は科学的に解明されていないことが多く、不妊治療が確立されていない。ネットで信頼性できる不妊治療の情報を集めることも難しく、潜在的な患者の悩みに寄り添う仕組みづくりが望まれていた。

 既に両者は、不妊治療業界向けAIの活用で連携。22年には、不妊治療に携わる若手医師の育成・教育を支援するAIシステム「AACS(アークス)」を共同開発し、同クリニックで運用している。