2025.05.14 【育成のとびら】〈49〉「この会社でがんばろう」と思っている新人は何割? 今年の新入社員の特徴
4月1日に日本全国で入社式や辞令交付式が行われた。今年は入社式前に先輩社員が新入社員にメーキャップを施すイベントを行った化粧品メーカーや、電車内で新入社員が車内アナウンスで抱負を述べる入社式を行った鉄道会社の取り組みなども注目された。学生優位の「売り手市場」と言われる中、会社への愛着心を高め、定着を図るため、企業では新入社員に対してさまざまな受け入れの工夫をしている。
では、2025年度入社の新入社員はどのような心境で入社を迎えているのだろうか。当社ALL DIFFERENTとラーニングイノベーション総合研究所が1月21日~3月7日、25年に企業に入社する新入社員273人に行った入社直前意識調査の結果からひもといていきたい。
入社に向けた心境について聞いたところ(複数回答)、1位は「不安・心配な気持ち」(76.9%)となり、「うれしさ・楽しみな気持ち」(48.4%)、「焦り・緊張」(47.3%)、「期待感」(41.0%)と続いた。不安やわくわくする気持ち、緊張、期待、さまざまな感情を併せ持つ新入社員が多いことが推察された。
「期待感」は4位とそれほど高くない結果となったが、入社に向けた期待の内容について聞いたところ、「給料がもらえる」(58.2%)を抑え、「いろいろなことを学び成長できる」(70.0%)がトップだった(図1)。
また、入社した会社で働くことについての意欲について「この会社で頑張ろう!という気持ちをどの程度持っているか」という質問を投げた。結果、「とてもある」が76.6%と最も多く、「どちらかといえばある」が22.7%、「どちらかといえばない」は0.7%で、「全くない」はゼロだった(図2)。
退職代行などがセンセーショナルな話題として取り上げられているが、当社の調査では新入社員の99%以上が「この会社で頑張ろう」という気持ちを抱いて入社している結果となった。
周囲の影響力
入社直前に持っていた前向きな意欲や期待を、入社後や配属後も維持し向上させるためには、本人の努力だけでなく、会社や上司、先輩社員など周囲のサポートが大切だ。入社1年目の時期は社会人としての基礎を築く重要な時期で周囲からの影響を受けやすい。
良い習慣も悪い習慣もつきやすいこの時期は、企業側の対応が非常に重要になる。学生時代をコロナ禍で過ごした新入社員が、社会人としてどのように組織になじみ、役割や期待を受け止めて成長、活躍していくべきか、改めて制度や仕組みを点検すべきだろう。
「コミュニケーションの頻度は十分か」「面談で話す内容は新入社員の意欲を高めるものになっているか」など、今一度チェックすることを推奨する。
次回から、新入社員が「成長できている」「成長を応援してもらっている」と感じられるようなサポートのポイントを紹介していく。(つづく)
〈執筆構成=ALL DIFFERENT〉
【次回は5月第4週に掲載予定】