2025.05.13 ローム、3月期連結は減収・赤字に転落 黒字回復めざす

 ロームの2025年3月期連結決算は減収、全損益で赤字。売上高は産業機器市場の大幅な減収のほか、自動車市場も減少し減収。損益は売上高の減少、生産調整に伴う稼働率の抑制、SiCパワーデバイスの生産能力増強や8インチ化対応のための固定費の増加で赤字となった。

 LSIは、民生機器市場向けで省エネ性能エアコン向けモータードライバーが好調。また、コンピューター&ストレージ市場向けではサーバー市場が回復傾向。自動車市場向けもADAS向けなどの高付加価値商品が伸長したが、電動車向けの製品は調整局面。産業機器市場、通信機器市場向けは厳しい状況だった。

 半導体素子は、パワーデバイスが自動車市場向けの売り上げはSiCデバイスで増加したものの、EVを中心に需要は低迷。産業機器市場向けの売り上げはエネルギー市場の鈍化や設備投資抑制の影響を受けて減少した。

 モジュールは、プリントヘッドが事務機向けの売り上げが減少したが、決済端末向けが増加した。

 前期に実施した人員数適正化は200人規模となった。赤字の要因について、東克己社長は「市況が変化した時に投資を止めなかったこと、生産を続けていたことが主因」と分析する。

 今期連結業績は減収、黒字回復を目指す。足もとの状況は「上振れしている」(東社長)。第2四半期以降に本格的な回復を見込む。民生ではアミューズメント向けで大きく増加。自動車はSiCデバイスの売り上げが伸長するものの生産調整が継続。産機は下期以降改善する見込み。