2025.11.27 「IIFES 2025」が活況 製造DXの未来を占う舞台に

アズビルは製造業の未来につながる最新の技術や製品を提案した

製造現場の課題解決につながる多彩な製品が集結したオムロンのブース製造現場の課題解決につながる多彩な製品が集結したオムロンのブース

三菱電機は製造業に新たな価値をもたらす先進技術を紹介した

三菱電機は製造業に新たな価値をもたらす先進技術を紹介した

 国内最大級のオートメーションと計測の先端技術総合展「IIFES2025」が11月19~21日の3日間、東京ビッグサイト(東京都江東区)で開かれた。「ものづくりの未来が集う ― 革新・連携・共創 ―」をテーマに227社・団体が集結し、最先端の多彩な製品・技術やサービスをアピール。リアルのみの開催となった今回のIIFESは、製造業のデジタルトランスフォーメーション(DX)の今後を占う舞台として注目を集め、約4万5000人が来場した。注目のブースに迫った。

 会場で存在感を発揮した1社が、計測・制御システムを手がけるアズビル。同社は「azbil’s road to the future-シン・オートメーションでつくる持続可能な未来-」をテーマに、製造現場の「今」を展示。新製品や新たに発表したブランドなどを紹介した。

 目玉の一つが、10月に発売した調節弁「6000シリーズ」。石油精製・化学品製造市場向けの基幹製品で、生産プロセスでの流体制御を担う。大きさは従来製品に比べ、高さが最大で40%小型化。バルブがどれだけ流体を通すかを示す「定格Cv値」は同社単座弁比129%、同社ケージ弁比125%の向上を実現した。流量を調整する性能を表す「レンジアビリティ」は1対100で、高い制御性を誇っている。

 同社は19日、工場・プラント向けに提供してきた多様なアプリケーション群を統合する新ブランド「we.ble(ウィーブル)」を発表。ブースには、同ブランドのコンセプトに沿ったソリューションも展示した。プロセスデータやアラームなどのアプリケーションを統合するとともに、現場でアラームが発生した際に原因調査や処置の提案を行うAI(人工知能)チャットも合わせ、一つのサービスとして提供することを目指している。

AIを駆使した取り組みも存在感

 オムロンは、現場の改善を経営の意思決定まで広げて課題を解決するコンセプトを掲げて展示を行った。主力製品の一つが、エッジコントローラー「データフローコントローラDX1」だ。専用のプログラムやソフトウエアなしで製造現場の制御機器の稼働データを収集・分析し、可視化できる。既存設備を停止することなく導入でき、他社の制御装置「PLC」とも接続できることも売りだ。

 参考出品として展示したのが、生成AIを活用してエンジニアリングの効率化を支援するアプリケーション「OMRON Automation Team」。膨大な制御プログラムの過去資産を検索する機能や制御装置を動かすためのプログラム言語を自動生成する対話型の機能などを提供し、経験が浅い技術者を後押しする。26年度中の提供を目指す方針だ。

 一方、「Automating the World ~製造業に新たな価値をもたらす、三菱電機の先進技術~」をテーマに出展したのが、三菱電機。同社は、GPU(画像処理半導体)ユニットの製造工程を模したデモ機で、FA(ファクトリーオートメーション)製品やAIなどを駆使した製造DXを紹介した。 

 同社は、26年春から順次展開する「工程管理ソリューション」や「設備保全・予備品管理ソリューション」などのFAデジタルソリューションも提案。ものづくりの各フェーズで抱える課題解決を後押しすることに意欲を示した。