2026.05.21 KDDIとJR東、山手線車内5G化へ実証 ミリ波エリア拡大に成功 1Gbps対応範囲97%に改善

 KDDIとJR東日本は20日、JR山手線の車両内の5G(第5世代移動通信システム)ミリ波エリアを拡大する実証に成功したと発表した。屋外基地局からのミリ波を車両内に引き込み、増幅して再放射する取り組みは国内初となる。

 実証はJR東日本の東京総合車両センターで、留置中の山手線車両を使って実施した。期間は2026年3月3日から4月15日まで。線路沿線のミリ波基地局から放射された電波を、車両の窓に設置したミリ波対応ガラスアンテナで受信し、アンプで増幅した上で車内へ伝送・再放射する構成を採用した。

 5Gのミリ波は28GHz帯の広い帯域幅を活用し、高速・大容量通信を実現できる。一方、電波の直進性が強く、遮蔽物の影響を受けやすい。鉄道車両は金属部分が多く、既設の基地局や中継器だけでは車内のエリア化が難しい課題となっていた。

 今回の実証では、窓ガラスに設置したガラスアンテナで受信した電波を、誘電体導波路で車内に伝送。漏洩アンテナとロッドアンテナを使い、必要な位置から電波を再放射した。これにより、車両内の必要な箇所を効率的にエリア化できることを確認した。

 通信速度1Gbpsを達成可能なエリアは、車両全体の約40%から約97%に改善した。車両の金属による電波の減衰で離散的だったエリアが、車内のほぼ全域に広がった。

 実証はAGC、日本電業工作、京セラの協力で実施した。KDDIは全体構成の立案、実証の企画・実行・評価を担当し、JR東日本は実証環境を提供した。AGCはミリ波用ガラスアンテナ、日本電業工作はミリ波用誘電体導波路、ロッドアンテナ、漏洩アンテナ、京セラはミリ波用高利得アンプを設計・提供した。

 両社は今回の知見を生かし、鉄道沿線や屋内環境でのミリ波活用を広げる。通信品質と利用者の利便性向上に加え、鉄道業務のDX(デジタルトランスフォーメーション)にもつなげたい考え。