2020.09.11 【デジタルカメラ特集】ミラーレスの伸びが顕著
新型コロナ禍の影響
各社からデジタルカメラ新時代の幕開けを感じさせる新製品が続々と発売されたが、新型コロナ禍で外出や他県への移動自粛、入学式の中止など撮影機会が奪われた影響で、グラフ1のように出荷は世界規模で落ち込んでいる。例年ピークの4月はわずかに持ち直したが5月が底。その後、反転基調にある(グラフ2)。
この傾向はほかの商材も同じ傾向だ。趣味製品は根強い性質があり、ファンの中には新モデルを必ず購入する層が存在する。今後は例年と異なる需要拡大が期待されている。
ミラーレスが主役に
カメラファン層拡大に貢献してきたミラーレスデジカメが、完全にプラットホームの主役になる。
近年のカメラ市場は量から質を追求するカメラファンに支えられるようになった。
カメラ本体は、レンズ交換式が出荷額の8割弱を占め、ミラーレスデジカメの伸びが顕著でトップシェアを占めている。
カメラ単価は上昇
11年前後が、販売量が多く単価が底値。コンデジは9000円台、レンズ交換式も3万4000円まで下落したが、以降は単価は反転し続けている(グラフ2)。レンズの単価も上昇中。
リモート時代のデジカメ活用
リモート会議が定着する中、当初は映像や音声をノートPC内蔵機能や、Webカメラに頼っていたユーザーが、画質・音質にこだわる傾向が見え始めている。
写真1は、富士フイルムが無償で提供しているソフトウエア「X Webcam」を使って、同社デジタルカメラをWebカメラとして活用しているリモートオフィスの様子。
ZoomなどのWeb会議ツールに有効で、利用者は「会議参加者の中で、際立って美しい映像なのが一目で分かる。ズームが使えるのも便利。会議後、問い合わせを受けることもある」そうで、「デジカメの新利用分野として広がるはずだ」と話している。
ポストコロナ需要に大きな期待
カメラもレンズも日本製品が世界シェア8割強の寡占市場。多くの熱心なカメラファンがいる(写真2)。コロナ禍の空白を取り戻そうとカメラ、レンズの新製品を購買し始めている。年末に向けて、さらなる市場の盛り上がりが期待される。
富士フイルムの「Ⅹシリーズ」用交換レンズ
世界初の開放F値1.0
富士フイルムは、独自の色再現技術で卓越した画質を実現するデジタルカメラの「Ⅹシリーズ」用交換レンズの35本目のラインアップとして、世界で初めて開放F値1・0の明るさを実現してオートフォーカス(AF)機能を搭載した「フジノンレンズ XF50㎜F1.0 R WR」を今月24日に発売する。
新製品は50㎜(35㎜判換算:76㎜相当)の焦点距離を備えた大口径中望遠単焦点レンズで、開放F値1.0の明るさを生かし、滑らかで美しいボケ味を実現。高性能なAFにより素早く正確にピントを合わせることもでき、被写体を際立たせたハイクオリティなポートレート撮影などを楽しめる。
さらに、小型軽量な「Xマウントシステム」を生かした設計で、極めて明るいレンズでありながら、質量845グラム、全長103.5ミリメートルのコンパクトサイズを実現。優れた携帯性を発揮する。
集光力も高く、従来のAF低照度限界-6EVを超え、暗闇に近い-7EVの環境下でもスムーズなAFを行える。
夜景撮影など低光量な場面でも、手ブレやノイズを抑えつつ被写体を正確に捉えた高画質撮影を楽しめるため、写真愛好家からの関心は高い。
「X-T4」販売好調
また、「Ⅹシリーズ」のフラグシップモデルとして、今年4月に発売したミラーレスデジタルカメラ「X-T4」は、15コマ/秒の高速連写と最短約0・02秒のAFが可能で、決定的瞬間を捉えることができる。色調豊かで滑らかな4K映像を実現し、電子式手ブレ補正機能も搭載しているため、快適に高画質な動画を撮影可能。高速AFや高い動画性能が評価され、販売は好調だ。
このほか、「Ⅹシリーズ」のみならず、ラージフォーマットセンサー搭載の「GFXシリーズ」も、Webカメラとして活用できるソフトウエアの無償提供を今年5月から行っている。自宅で過ごす時間が増えている中、同ソフトを活用すれば手軽に高画質なオンラインミーティングなどを設営できる。富士フイルムは、デジタルカメラの新しい使い方を提案し、「X/GFXシリーズ」を訴求していく。