2020.09.15 【関西エレ産業特集】 神戸未来医療構想医工連携実証を整備

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 神戸医療産業都市で「神戸未来医療構想」が進みだした。国産第1号の手術支援ロボットシステム「hinotori」を基盤に、神戸大学医学部付属病院国際がん医療・研究センター(ICCRC)内に医療現場のニーズをその場で機器に反映する医工連携実証・改良の場を整備、医工連携人材も育成する。

 神戸医療産業都市は1995年に発生した阪神・淡路大震災の復興事業として人工島「ポートアイランド」に整備され、368の先端医療研究機関や高度専門病院群、企業、大学が集積する、日本最大のバイオメディカルクラスターだ。

 市が提唱する「神戸未来医療構想」は、内閣府の地方大学・地域産業創生交付金事業に1月31日付で採択された。事業期間は19-28年度までの10年間。国からの支援期間である前半5年間の事業費は14・5億円(うち交付金9・3億円)だ。

 事業には神戸大、エア・ウォーター、NTTドコモ、オプティム、川崎重工、シスメックス、スカイジェット・メディカル、メディカロイドが参画する予定。

 事業ではICCRC7階にリサーチホスピタルを整備、工学研究者や医療機器メーカーが集い、医療現場のニーズをその場ですぐに機器に反映し実証・改良できる場とする。ICCRCの病床120床のうち、7階40床は治験に活用する。

 市によるとリサーチホスピタルについて、これまで進出企業から強い要望があり、今後の企業の定着や新たな誘致が期待できるという。ハード面の整備は20年度中に終える。

 川崎重工とシスメックスが共同出資するメディカロイドの「hinotori サージカルロボットシステム」は8月、製造販売承認を取得。今後、AI画像診断システムや8Kカメラ、顕微鏡、5Gによる遠隔診断治療、新素材体内分解性クリップ・ステントといった技術を加える。

 神戸大は、同大大学院に25年にデジタル医工創成学専攻、26年に生命・医療創造学科を設置、医療現場のニーズから医療機器開発を行える医工融合人材を養成するのが狙いだ。

 2日には同構想推進会議幹事会の初会合が開かれ、産官学の関係者が集まった。事業スケジュールや予算、体制などを協議した。