2021.02.02 21年のAI動向、進歩遂げないと政府の規制もペガシステムズ ヴィンス・ジェフスSDに聞く

ジェフス SD

 人工知能(AI)の開発が急速に進んでいる。労働者不足や生産性向上など多くの社会課題を解決する上で、AIは有効なソリューションとして期待されている。その一方、消費者のAIに対する懐疑的な見方は強く、AI倫理などは今後ますます重要となる。AIとの親和性が高いデジタルトランスフォーメーション(DX、デジタル変革)が加速する中、21年はAI開発もさらに進むと見込まれる。DXのリーディングカンパニーである米ペガシステムズのビンス・ジェフスシニアディレクター(SD)に、21年にAI分野で起こりうる最新動向について話を聞いた。

 ――AIガバナンスはだれがどのように実行すべきでしょうか。

 ジェフスSD 企業が政府よりも先に規制を行う場合は、AIにフィードするデータが公平でバイアスフリーであり、AIモデルが共感的で透明性が高く、堅牢であることを保証する必要がある。

 また企業・組織は、堅牢なシミュレーション機能と自動監視機能を備えたAIを綿密に監視する方法を実装する必要がある。これにより、AIが「学習」する際に軌道を逸脱することを防げる。これまでのところ、企業・組織はAIに関する課題に直面しており、今後顕著な進歩を遂げない限り、21年中に政府の規制が厳しくなることが予想される。

 ――DXが注目されています。

 ジェフスSD 新型コロナウイルスの感染拡大により、多くの企業・組織はDXの必要性に気付いた。この傾向は21年も継続する。こうしたパンデミックの状況下で経済活動を行うためには、迅速なDXの導入が必要となる。

 ――DXにおけるAI活用は。

 ジェフスSD 消費者からの問い合わせの増加、従業員の分散配置、課題の増加が顕在化する中、AIによる自動化と、それらのAIインタラクションに対する綿密な監視への需要が高まるだろう。ハイパーオートメーションは、コロナ後のワークフローの合理化に役立つが、企業はAIの挙動を予測・監視するため、まずはAIが何をしているのかを理解しないと、顧客の権利を剥奪することになりかねない。

 ――エッジ側へのAI実装も進んでいます。

 ジェフスSD 当社の調査によると、ビジネスリーダーの41%が、拡張エッジのユースケースはAIおよび、自動化や機械学習など他のテクノロジーの成熟度に大きく依存していると考えている。

 企業・組織は、成功を勝ち取るために、全体的な顧客像を把握するために、周辺のすべてが中央の頭脳と同期する必要がある。AIをエッジコンピューティングのサイロに隔離することは、最終的にAIの能力を低下させる。エッジが常に中央に接続されていることを確実にすることによってのみ、AIの可能性を広げることができる。

 ――AIの開発手法はどう変わりますか。

 ジェフスSD ModelOpsがAI開発において〝頼りになる〟アプローチとなる。ModelOpsはモデル関連の工程をアナリティクス・ライフサイクルに沿って、迅速かつ反復的に進めていくための総合的なアプローチ。DevOpsがアプリケーションのデプロイ方法に構造を与えたのと同様に、ModelOpsは、主要企業がAIモデルをより適切に開発・運用する方法として、21年に転換点を迎えるだろう。これにより、クラウドを介してAIモデルをより効率的、迅速かつ責任を持って開発、テスト、デプロイするためのより体系的な方法が提供される。

 ――21年、AIはどう進展しますか。

 ジェフスSD AIが21年も脚光を浴びることは間違いない。その一方、懐疑な見方も消えないだろう。 AIが普及するにつれ、AIのプロセスとポリシーおよびAIの開発方法と使用方法に関する構造と規制も間違いなく増えていく。AIは、あらゆる企業・組織および消費者を支援する可能性が非常に高い。責任を持って扱えば、ゲームチェンジャーになることができる。

ペガシステムズについて
ペガシステムズは、CRMなどの提供を通じてカスタマエンゲージメントおよびオペレーショナルエクセレンスを実現するクラウドソフトウェアのリーディング企業。多種多様な業種の顧客を有し、日本でもトヨタやみずほ銀行などに様々なソリューションを提供している。