2021.10.19 【CEATEC特集】キーノートスピーチジョン・マーカス・ラービックCognite AS共同創業者兼CEO

ラービック氏

データドリブンで持続可能な活動を

 当社はエネルギー関連などから、製造業、OEMにも、(ソフトウエアの)サービス範囲を広げている。私たちの価値命題の中核にあるのは、ITとOTの両方からのデータを集めて統一し、マシンラーニング(機械学習)やシミューレーションを使って、利用してもらえるようにすること。

 これらによって、データから価値を引き出すことができるようになり、メンテナンスや生産の最適化、ワーカーへの貢献につながる。当社はソフトウエアとドメイン両方の専門家がいるのがユニークな点だ。

 (工場など)産業部門の現場には、設置してから10年、20年とたつような古い設備もあれば、さまざまなベンダー、さまざまなセンサーもある。CADもある。こうした大量で複雑なデータをどうやって統一するか。またコンテキスト(文脈)化して意味を見いだすか。これを実現できれば、データを人間が使えるし、機械学習などに活用できる。そうしたデータの準備ができれば専門家が使えるようになる。

 ただ、ここでよくあるのは、(企業側で)データの整理ができておらず、整理に一日がかりになるといったこと。そこで当社では、専門家がすぐデータを引き出せるようにしている。そして、デジタルツールを使って意思決定し、エネルギーの最適化を図る。

 例えば、工場のデジタルモデルをつくり、全ユーザーが情報源を共有できるようにし、エコシステムで関係者がつながる。また、産業機器では多くのマニュアル作業があり、どうしてもヒューマンエラーが起きる可能性があるが、ドローンやロボットを組み合わせて、遠隔などから自動点検をする取り組みもしている。

 これらは全てデータに関係している。データを使って操業を最適化しているわけで、つまり、サステナビリティーの問題はデータの問題でもある。データドリブンな進め方ができる。

 私たちの技術の中核にあるのはサステナビリティー。より効率を上げ、同時に安全向上を図る取り組みをしている。(その結果)既存の産業、例えば製造業でもエネルギー業でも省エネ化を図り、より持続可能にしている。また、新規の産業、例えばグリーン関連の洋上風力発電や太陽エネルギーといった再生エネルギーの分野でも、競争力を向上させる。

 当社は、大きく四つのアプリケーションを用意している。具体的に紹介すると、メインテイン(保守点検など)や、生産の最適化(歩留まりの向上など)、インフィールド(働く人が現場の状況をつかみ、より効果を上げられるようにするもの)、リモート(遠隔からでも現場と協業したり設備を運転したりできるようにするもの)といったものがある。

 例えば、ある現場では生産量を増やしつつ環境への影響を減らす取り組みもしている。(企業は)デジタル化を進めることで世界をリードし、サステナブルに活動できる。