2021.10.20 CEATEC 2021 ONLINE ニューノーマル社会と共に歩む  メインイベントが開幕 22日まで4日間

NECが出展する「ローカル5Gラボ」

 あらゆるモノがつながるIoTの総合展示会「CEATEC 2021 ONLINE(第22回)」(主催=電子情報技術産業協会)のメインイベントが19日、開幕した。2年連続の完全オンライン開催となった今年は、国内外から計314社/団体が出展。日本を代表する電機メーカーや電子部品メーカー、情報通信関連企業、および数多くのスタートアップ企業などが結集し、「ニューノーマル時代」に向けた最新の製品やソリューション、サービスをオンライン上の会場(ウェブサイト)で披露している。会期は22日までの4日間。その後も11月末までアフターイベントが開催される。

 今年の開催スローガンは「ニューノーマル社会と共に歩むCEATEC」。ウィズコロナにおけるSociety5・0の実現に向けた四つの重点テーマ(カーボンニュートラル、5G、スーパーシティ/スマートシティ、モビリティ)が掲げられ、出展各社のブースでもこれらテーマに沿った製品やソリューションの紹介が目立つ。

 会場は「企業エリア」「Society5.0エリア」「Co-Creation PARK」を中心に構成。8年ぶりに大手電機メーカー8社がそろうほか、主要電子部品メーカーやIT関連企業、国内外スタートアップなどが多数出展。新規出展者は128社と全体の41%を占める。海外からは20カ国・地域の85社/団体が出展した。

 コンファレンス関係も、各界トップによる講演や専門性の高いセッションの配信が行われている。

総合電機/情報通信

三菱電機はゼロエネルギー化に向けた実証施設「SUSTIE」を展示している

 企業エリアには総合電機や電子部品、情報通信関連メーカーを中心に多数が出展。脱炭素やSociety5.0(超スマート社会)を踏まえ、再生可能エネルギーをはじめとする環境関連技術の展示が目立つ。

 サステナブルな未来の実現を理念に掲げた新たな事業ブランド「Uvance(ユーバンス)」を12日に立ち上げたばかりの富士通は、脱炭素社会を見据えたクラウドサービスを紹介。データセンターで、人工知能(AI)を活用した空調設備の制御による冷房効率の最適化など消費電力の削減に取り組み、2022年度までに100%再生可能エネルギーでの運用に転換する方針を掲げる。

 快適な室内環境を保ちながら太陽光発電などの活用で建物のゼロエネルギー化を進めるのが三菱電機だ。ブースでは関連技術の実証施設である「SUSTIE(サスティエ)」の機能をアピール。通常は一般公開していない同施設内をその場にいるような臨場感で楽しめる360度画像のサイトも用意した。

 NECは第5世代移動通信規格5Gを地域限定で使う「ローカル5G」に焦点を当てている。ローカル5GとIoTを組み合わせた重機の遠隔操作などの技術を持つ同社は、実際の機器やソリューションを持ち込んでユースケース実証を体験できる施設「ローカル5Gラボ」を紹介。顧客との共創による社会実装を進めたい考えだ。

電子部品・デバイス

電子部品メーカーでは、ソリューションを重視した出品が目立つ(京セラブース)

 電子部品関連は、脱炭素/カーボンニュートラルやCASE、5G、スマートファクトリーなどの分野に重点が置かれ、最先端の電子部品とともにソリューションを重視した紹介に力が注がれている。

 京セラは、社会課題を解決するさまざまなソリューションを訴求している。「スマート無人レジシステム」はCEATECアワードDX部門賞、長崎大学と共同開発した「エナジーハーベスト型スマートブイ」は同カーボンニュートラル部門賞のそれぞれ準グランプリを受賞した。

 アルプスアルパインは、自動運転を支えるC-V2X機能搭載5G対応通信モジュール「車載用5G NR通信モジュール」を初出品。TDKは、地磁気と自立航法技術を基本に高精度かつ投資を抑えた位置測位ソリューション「VENUE」がCEATECアワード要素技術・デバイス部門賞準グランプリを受賞した。村田製作所は、超スマート社会を支える同社技術を、基地局、データセンター、ウエアラブル/ヒアラブル/AR/VR、SFA(スマートファクトリーオートメーション)、モビリティなどのアプリケーション別に提案している。

 TE Connectivityは「Engineering the Future(未来をエンジニアリングしましょう)」をテーマに多彩なソリューションを披露。センシング体験型ゲーム機器「ボディ・コネクティビティ」のデモ映像も紹介している。

スタートアップ

初日のコンファレンスに登場した保育業務のDXソリューションを手掛けるユニファの土岐社長

 スタートアップ企業はCo-Creation PARKに出展。設立9年以下の新興企業や大学・研究機関が対象となる。

 初日のコンファレンスではユニファ(東京都千代田区)の土岐泰之社長が、保育園や幼稚園などのDXサービスを紹介。連絡帳や体温・睡眠・食事などの記録をアプリで一元管理することで保育士の業務負担を減らし、子どもと向き合う時間を増やせるソリューションと説明した。

 国内外のスタートアップが多数出展するとともに、今回もJETRO(日本貿易振興機構)が特設エリアを設置している。

 カナダ・オンタリオ州も初出展。同州は北米で2番目のIT企業の集積地で、モバイル衛星アンテナのC-Com Satellite Systemsやサプライチェーンのネットワーク管理サービスのSPICE Technologyなどが企業とのコンタクトを待つ。