2021.12.02 【抵抗器技術特集】さまざまな用途に応えるKOAの抵抗器

[写真1]TLRシリーズ

 KOAは、電動化の加速などにより高い信頼性が求められる自動車用途から、IoT関連機器、インバーターなどの環境・省エネ関連機器、またスマートフォンなどコンシューマー向け機器までさまざまな用途に向けた抵抗器を提供している。

 モーターやバッテリー、DC-DCコンバーター回路では電流を制御するための電流検出用抵抗器が必要である。省電力を目的としたパワーマネジメントで使用される金属板の低抵抗器では、豊富な種類・サイズを取りそろえている。専用抵抗材料と銅を接合したシンプルな構造のTLRシリーズ(写真1)は0.5mΩ~20mΩ、抵抗値許容差±1%、抵抗温度係数±50×10-6/Kであり、寄生インダクタンスを極力排除しているため高精度な電流検出が可能である。また、2012mmサイズで1W、3216mmサイズで3W、6432mmサイズで5Wと小型・高電力化により最大100Aまでの電流検出を可能としている。金属板電極を樹脂封止した構造で高いヒートサイクル性を有するSLシリーズ(写真2)は、抵抗値3mΩ~、定格電力7W~の仕様を持つ。さらに金属板チップジャンパー抵抗器として大電流、低抵抗かつ高熱容量化に対応したTLRZシリーズ(写真3)を1005mm~3216mmサイズのラインアップでそろえ最大50Aの定格電流を実現している。樹脂封止構造のジャンパー抵抗器のSLZ(写真4)もラインアップしている。厚膜タイプでも、100mΩ以下の低抵抗領域において抵抗温度係数±75×10-6/Kを実現したUR73Vシリーズ(写真5)と長辺電極タイプのWU73シリーズ(写真6)をラインアップし、各種機器の高精度な電流検出を可能としている。

 小型・軽量化要求に対しては、小型高電力の耐パルスチップ抵抗器SG73Pシリーズ(写真7)をラインアップしている。1005mmサイズで0.25W、2012mmサイズで0.5Wの高電力を実現し、汎用のチップ抵抗器から2ランクのサイズダウンを可能とし、実装基板面積を削減するとともに部品点数削減にも貢献する。車載、産業機器から家電、情報通信機器などの民生機器まで幅広い用途で使用が可能である。また、長辺電極タイプのWK73シリーズ(写真8)は0510mm~3264mmサイズで定格電力0.33~3Wの高電力を実現し、電源回路、ECUなど自動車関連機器の小型・軽量化に貢献している。

 高精度チップ抵抗器の分野では、抵抗値許容差±0.05%~、抵抗温度係数±5×10-6/K~という高精度を保ちながら、定格周囲温度85℃、使用温度範囲-55~+155℃で使用可能な耐熱性と耐湿性を向上した金属皮膜チップ抵抗器RN73Hシリーズ(写真9)をラインアップしている。

[写真9]RN73Hシリーズ

 また、厚膜抵抗器では実現困難とされていた抵抗値許容差±0.1%、抵抗温度係数±25×10-6/Kの高信頼性厚膜チップ抵抗器RS73シリーズ(写真10)をリリースしている。RS73シリーズは薄膜抵抗並みの長期安定性にも優れた高信頼性品であり、同時に硫化対策品もラインアップしている。さらにバッテリーマネジメント回路やインバーター回路に代表される高電圧監視用途として、薄膜技術を用いた高電圧対応の分圧抵抗器HVDシリーズ(写真11)を提供している。パワーコントロールユニット等で必要となる数百Vから1000Vクラスの高電圧を高精度に検出し、かつ従来方式に比べ部品点数削減に貢献し省スペース化が可能となる。

 大電力抵抗器の分野では、高電力・高パルス耐性が求められるEVバッテリーマネジメント回路のプリチャージ抵抗として、定格電力~40W、良好な耐パルス特性を有したBGRV(写真12)/BWRVをラインアップしている。また、巻線抵抗器を樹脂封止したMWS(写真13)をリリースしている。16.9×8.6mmサイズで5W、使用温度範囲-55~+200℃の高電力、耐熱性に優れている。応力緩和構造により温度急変1000サイクルを保証している。車載、産業機器などの高電力・高耐熱を求められる用途に対し面実装製品の新たな選択肢を提供している。〈KOA(株)〉