2021.12.03 電子部品42社の今年度中間決算 大幅な増収増益通期予想上方修正も相次ぐ

 主要電子部品メーカー42社の今年度連結中間決算(4~9月)は、旺盛な部品需要を背景に、大半の企業が大幅な増収増益となった。9割を超える企業が前年同期比で2桁の増収となり、営業利益は前年同期比で5割以上の大幅増益となった企業が約4割に達した。自動車や産業機器、ハイエンドスマートフォン向けなどの部品需要が堅調に推移し、多くの企業が当初計画を上振れて着地した。通期業績予想を上方修正した企業も相次いでいる。

 電子部品のグローバル需要は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う20年前半の落ち込みを経て、20年夏場以降回復し、その後、想定を超えるペースでの需要拡大が続いている。

 特に、日系電子部品各社が重点を置く車載市場向けは、上期は半導体不足やASEANでの新型コロナウイルス感染再拡大などが自動車生産に影響を与えた中でも、電子部品ユーザーの在庫積み増しの動きもあり、好調な受注状況が継続した。産業機器や半導体製造装置向けなどの部品需要も旺盛だった。スマホ向け部品は、中国系スマホメーカーの在庫調整などが一部みられたものの、米アップルの新型スマホ向けの生産が7月頃から立ち上がり、堅調だった。パソコン(PC)やゲーム機向けの需要も底堅く推移した。

 一方、下期の部品需要見通しについては、半導体不足の長期化や、サプライチェーンの混乱、材料費の高騰、物流費の高止まり、さらに、欧州などでの新型コロナ感染再拡大や新たな変異株の発生など、さまざまな不透明要因が指摘されているため、やや慎重な見方を行う企業も多いが、「電子部品の需要そのものは非常に強い」と多くの部品企業が指摘しており、当面は堅調な受注が継続する見通し。

 各社の9月末時点の受注残高も極めて高水準で、受注に対して生産が追い付いていないメーカーも多い。特に、半導体関連やデータセンター関連などの部品需要は、「当面は需要が落ちる要素がない」と多くの企業が指摘する。今年度第4四半期(22年1~3月)に向け、主要自動車メーカー各社の挽回生産への期待も高まっている。
(6日付電波新聞・電波新聞デジタルに詳報します。)