2021.12.08 【新領域に挑む】ユナイテッド・プレシジョン・テクノロジーズ(上)-PR-半導体テスト市場に参入 エッチングによるコネクター開発

古賀 社長

技術開発に主眼 製販一体でアプローチ

 最先端の半導体テストで革新を起こすために、エッチング技術によるコネクターの開発に2年以上の歳月をかけて取り組んできたユナイテッド・プレシジョン・テクノロジーズ(UPT、東京都新宿区)。エッチングによる精密加工を得意とする企業だ。

 エッチングとは、薬品による金属の化学反応や腐食作用を利用し、金属を精密に加工する技術のことだ。UPTは、協成(東京都新宿区、1951年設立)とコーケン化学(横浜市金沢区、73年設立)という、エッチングを得意とする2社の老舗企業を事業継承し、2015年9月に設立した。

 「エッチングによる微細加工集団を作る」。そんな思いで投資会社と共にUPTを立ち上げたのが、古賀慎一郎社長だ。市場に革新を起こす可能性を秘めた、半導体テスト用コネクターの開発に成功した古賀社長に、中長期的な展望を聞いた。

 -なぜエッチングに注目したのですか。

ユニークな技術

 古賀社長 金属を溶かしてミクロン単位の微細加工ができるのが、エッチング。非常にユニークな技術だと思っている。

 当社は、高性能スマートフォンのカメラに採用されている光学式手振れ補正システム向けのスプリング(VCMスプリング)分野で、世界トップシェアを持つ。名だたるグローバル企業にも採用されており、開発した「MMS(マイクロ・メタル・ソケット)」は、半導体テスト用コネクターとして他社に2年は先行したと考えている。

 -半導体テストに注目した理由は。

 古賀社長 スマホの高性能化をはじめ、5G(第5世代移動通信規格)や電気自動車(EV)の普及などで、それらに使われる部品を微細加工する技術の重要度が増している。

 特に最先端の半導体テスト領域では、デバイスのダウンサイジングや狭ピッチ化、ピン数の増大などが進み、テストするための接触部品、いわゆるコネクターが、従来レベルの加工精度では処理が難しくなってきている。ここに当社のエッチング技術が生かせると考えた。

 -新事業として半導体テスト用コネクター市場に参入します。中長期的な展望はいかがですか。

製造業のエポックに

 古賀社長 日本のものづくりを支えているのは、当社のような中小企業だと思っている。開発したコネクターを軸にした新事業を立ち上げ、日本の製造業におけるエポックになりたい。

 MMSは、今は最先端の半導体テスト用がターゲット。先頭を走る技術を開発し続けることで、将来的にはスタンダード品としてボリュームゾーンに落とし込むことも視野に入れている。

 -来年1月には協成とコーケン化学とで別々だった営業窓口を一本化し、組織としても「攻め」の戦略を進める方針です。

 古賀社長 営業体制もUPTとして一本化し、技術開発に主眼を置いた開発本部と連携しながら、製販一体となったアプローチができるようになる。

 MMSのほかにも、UPT立ち上げからの6年間で競争力のある製品がそろってきた。22年は攻めに転じて、大きく成長したいと考えている。中長期的には、事業の拡大に合わせて、国内外への工場新設といった、開発や生産に対する投資も必要になってくるだろう。

 VCMスプリングでは世界トップシェアを取った。こうした製品を今後も開発し、2本目、3本目の事業の柱に育てていく。(つづく)