2022.02.18 【5Gがくる】ローカル5G簡単解説<75>アフターコロナのDX&ローカル5Gを占う③

 北京冬季五輪が熱い。期待されていた選手がまさかのアクシデントでメダルを取れなかったり、その逆もあったり、応援する側も悲喜こもごもだ。

 スピードスケート女子500メートルでは、髙木美帆が銀メダルを獲得した。彼女は1500メートルの世界記録保持者だ。中距離のスペシャリストでもある彼女が専門ではない短距離の500メートルでメダルを獲得すると予測する人は少なかっただろう。

 これは得意の1500メートルで銀メダルとなった事象が、500メートルの結果の予測に影響を与えたのかもしれない。それこそが、ベイズ統計学に基づくベイズ推定にほかならない。

テレワークが日常

 場面をオリンピック会場からコロナ禍のテレワークへ戻そう。テレワークがニューノーマル(新しい日常)になるのか--。ベイズで推論してみたい。

 まず、ビフォアコロナにおいてはテレワークの導入は限定的で、一部を除いて定着していなかった。そのため、テレワークがニューノーマルになるとは誰も思わず、予測としては確率ゼロに等しかった。ところが、コロナ禍によって今まで起こらなかったことが起きるようになってきた。

ニューノーマル時代のハイブリッドワーク

 2020年、日立製作所はニューノーマルとしての在宅勤務活用を標準とした働き方を目指すロードマップを発表した。続いて、富士通は社員の勤務形態を基本テレワークとし、国内の既存オフィスの床面積を今後3年かけて50%に削減すると発表。そして21年、NECは社員アンケートも踏まえコロナ終息後も継続して出社率を40%と想定し、ハイブリッドワークへの移行を発表した。

 このように、アフターコロナもオンライン会議を活用してテレワークを継続すると意思決定した大企業は少なくない。「もう元には戻れない」という声が高まっているのだ。

 つまり、大企業において客観的に観測された事象から、アフターコロナではテレワークがニューノーマルになる確率はかなり高くなっているように思える。そうなると、デジタルトランスフォーメーション(DX、デジタル変革)&ローカル5G導入も進むに違いない。

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の資料「コロナ禍後の社会変化と期待されるイノベーション像」でも、オンライン上でのビジネスが加速すると指摘している。

 その際に、関係性を築けていない相手との会議や商談では「オンラインコミュニケーション技術とそれを支える5G通信技術のイノベーションが期待されている」と記されている。

ARによる新技術

 確かに、オンライン会議の席上で初めて紹介された相手との関係を構築するためには、対面と変わらない4K/8K超高精細映像や、対面ではできないAR(拡張現実)によるオンライン名刺の表示・交換など、新たなオンラインコミュニケーション技術が必要となる。

 こうした新たなオンライン上でのコミュニケーションが増えれば増えるほど、5Gによる超高速インフラが必要となってくるのは間違いないだろう。

 一方で、中小企業はどうなのだろうか?(つづく)

 〈筆者=モバイルコンピューティング推進コンソーシアム上席顧問。グローバルベンチャー協会理事。国士舘大学非常勤講師・竹井俊文氏〉