2022.05.03 まち未来製作所、再エネ電力供給で地域活性化茨城・神栖や福島・会津若松で資金還元
地域活性化資金を寄付するため、茨城県神栖市で3月下旬に行われた式典
再生可能エネルギー電力のコンサルタントなどを手掛ける「まち未来製作所」(横浜市中区)は、地域の再エネ電力を有効活用して地域に資金を循環させるサービス「グッドアラウンド」が茨城県神栖市と福島県会津若松市で導入され、初めて地域に資金が還元されたと発表した。収益の75%が還元されるスキームで、初年度の額はまだ小規模だが、賛同する発電事業者が増え、今年度はさらに増額する見込みだという。
グッドアラウンドは、同社が地域の再エネ電源を都市部の需要家に供給する新電力などとつないで調整。電気料金に1kW当たり0.5円を上乗せし、その75%を地域活性化資金としてそのまま地域が望む用途に「寄付」する仕組みだ。
2021年3月に連携協定を結んだ神栖市では、市民出資の風車を運営する波崎未来エネルギー(風力発電出力約1500kWと太陽光発電約500kW)や、はさき漁業協同組合(風力発電約3000kW)などの賛同を得て、仕組みの運用を開始。電力小売事業者4社を通じて都市部の需要家に売電された。「広く多くの需要家に供給したい。開かれた電力であってほしい」(まち未来製作所)との方針から、複数の事業者を通じて供給した。
その結果、21年度は地域活性化資金として約50万円がたまり、同市と協議して用途を決定。市外からの転入者支援や、防災、花植えなどの市民活動に寄付された。
今年度は事業も軌道に乗り、大手化学メーカーが所有する太陽光発電所(約1万2700kW)や大手製材メーカー系のバイオマス発電所(約2万1000kW)などからの供給も計画され、同資金は40倍程度に膨れ上がる見込みだ。
会津若松市でも21年度から仕組みの運用が始まり、石油元売り大手グループの風力発電所(約1万6000kW)の電力が横浜市の企業などに供給された。同資金は、同市のNPOなどが取り組む脱炭素事業や、地域の温泉地の活性化事業に寄付されることが決まっているという。
まち未来製作所では高知県梼原町とも同様の連携を進めている。こうした取り組みをモデルに、全国へ仕組みを広げていく方針だ。
同社担当者は「発電事業者や電力小売事業者、自治体など、さまざまな方々と連携し、賛同を得ながら進めていく必要があるスキームで、そういった点に難しさがある」と話している。