2022.05.24 リニューアブル・ジャパン 、再エネ拡大に技術者育成外部から受け入れ構想も

太陽光発電所の点検をしているリニューアブル・ジャパンの技術者たち

リニューアブル・ジャパンのソーラーシェアリング設備(岩手県一関市)リニューアブル・ジャパンのソーラーシェアリング設備(岩手県一関市)

 再生可能エネルギー発電事業を手掛けるリニューアブル・ジャパンは、再エネ電源に特化した保守点検業務に従事できる技術者を育成する「RJアカデミー」を社内に開設した。将来的に不足が懸念される電気主任技術者を育てる組織で、外部企業から受け入れて教育する研修機関へと発展させることを視野に入れている。

 同社は太陽光発電を中心に再エネ電源の開発を手掛ける一方で、発電所の保守点検事業も展開。数年前から他社の発電所の保守点検も積極的に受け入れ、事業を拡大させてきた。

 4月時点で、全国の自社所有の設備容量約600MWに加え、他社分約500MWの保守も手掛けており、対象は計約1118MWに及ぶ。

 発電所などの電気設備を保有する企業は法令上、電気主任技術者の資格を持つ技術者を置く必要がある。地域分散電源である再エネが拡大していけば技術者のニーズが高まり、人材不足が懸念される。現状でも全国の資格保有者の約4割が60歳以上とされ、高齢化の問題を抱えているという。経産省の試算では、2030年には約2000人が不足する見込みだ。

 こうした背景から同社は、保守点検業務の社内研修を担う組織としてRJアカデミーを開設した。まずは、23年4月に入社する5人前後に研修を行いながら、教育内容を体系化していく。外部から受け入れを始める時期は未定だが、「発展を見据えた取り組みだ」(同社)という。

 電気主任技術者の資格は、対応できる発電容量の大きさなどで1種、2種、3種に分かれ、難易度も異なる。原子力発電所など大型設備では1種が必要だが、メガソーラーなどでは2種、小規模な太陽光発電所では3種があれば対応できるケースもある。

 RJアカデミーでは、太陽光発電設備などでの現場研修を重ねながら、開始から1年以降に3種の取得を目指し、5年程度の研修を経て2種の資格に臨む計画。実務経験を資格試験にも役立てることができるため、太陽光発電所のメンテナンスなどの体験を豊富に組み込む。同社は「再エネに特化して統一的に研修できる例は珍しいのではないか」とする。試験に向けた研修だけでなく、ビジネススキルなどを学べる内容になっているのも特徴だ。

 また、資格を持つ技術者が、新たな知識の習得や技術力向上に活用できる研修内容も充実させる。社員300人弱のうち約100人を占める資格保有者も、RJアカデミーで再度、学ぶ機会をつくるという。

 「再エネを普及させるためには人材がボトルネックになる恐れがある。その問題を解消するため、まずは社内で、再エネに特化し、体系立てた研修制度をきちんとつくっていきたい」(同社)。