2022.07.08 【電子部品技術総合特集】自動車用電子部品の動向xEVシフトへの機運高まる

トヨタ自動車の電気自動車「bZ4X」採用のBEV専用プラットフォーム(人とくるまのテクノロジー展2022 横浜)

 電子部品メーカー各社は、技術変革が進む自動車市場に照準を合わせた技術開発を強化している。現在の自動車市場は、「CASE(コネクテッド、オートノマス、シェアード&サービス、エレクトリック)」をメガトレンドとした変革が加速。特にxEⅤシフトへの機運が高まり、2024~25年ごろからxEVの普及に弾みがつくと予想されている。電子部品各社は、自動車技術の進化をサポートするための新製品・新技術開発を推し進めることで、車載用電子部品ビジネスの成長加速を目指す。

 自動車の世界生産台数は、乗用車と商用車を合わせ、10年代後半には年間9500万台以上まで伸長したが、20年には新型コロナウイルス感染症拡大が自動車マーケットに多大な影響を与え、7600万台から7800万台くらいのレベルまで減少した。

 21年の世界の自動車生産販売台数は、回復基調が続いたものの、世界的な半導体不足に伴う生産遅延も目立った。当初は高い成長が予想されていた22年も、半導体不足の長期化や上海市ロックダウンなどの影響から、世界生産台数は現状では前年比横ばいから微増程度にとどまることが見込まれている。

 とはいえ、市場での旺盛な需要を背景に、自動車メーカー各社の挽回生産への意欲は極めて強く、加えて、CASEなどをキーワードとしたカーエレクトロニクス技術の高度化が、自動車1台当たりの電子部品の搭載点数増加や搭載部品の高付加価値化を促進していく見通し。電子部品各社は、これらの自動車の変化・進化に迅速に対応するための技術開発やマーケティング戦略を強化している。

オートノマス

 「オートノマス」では、自動運転車/完全自動運転車の実現に向けた開発競争が国内外で活発化。「自動走行レベル3」相当の市販車種の投入も始まっている。電子部品各社はこうした動きに対応するため、ADAS/自動運転の高度化に照準を合わせた高性能なセンサーや通信デバイス、車載用高速伝送用部品、ノイズ対策デバイスなどの開発を加速させている。

 特にシステムが運転の主体を担う車両と定義される「自動走行レベル3」以上の自動運転車では、搭載される電子部品にも極めて高い信頼性が要求され、AEC-Q200規格対応など優れた安全性能を付与した電子部品開発が進展している。

 さらに、将来の完全自動運転車両を見据え、走行中に人が運転から解放される状況を考慮した、車室内エンターテインメント空間化やワーキングスペース化を視野に入れた新たな電子部品の開発・提案もなされている。

エレクトリック

 「エレクトリック」では、BEV(バッテリーEV)やPHVなどの電動車向けに、大電流・高耐圧部品や次世代パワー半導体部品などの開発が活発。EVの1充電当たりの走行距離向上のため、搭載部品への軽量化要求も強く、高性能・高信頼性でかつ軽量化を追求した電子部品開発に力が注がれている。

 回路部品では、アルミ電解コンデンサーは、一般的な電解タイプに加え、導電性高分子アルミ固体電解コンデンサーや導電性高分子ハイブリッドアルミ電解コンデンサー(ハイブリッドコンデンサー)のさらなる性能向上に向けた技術開発が活発。コイル、トランス関連では、信頼性の高いIGBT用絶縁トランス、ハイパワーで高性能な電流センサー、高効率のリアクターやチョークコイルなどの技術開発が進展している。EV充電デバイスでは、将来の車載バッテリーの無線給電化に照準を合わせた研究開発も進む。

コネクテッドなど

 「コネクテッド」では、高速伝送対応や通信品質の向上に向けた電子部品・モジュール開発が活発。「シェアード&サービス」では、MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)向けに、電子部品技術や人工知能(AI)技術を活用した新たなビジネスモデル構築なども追求されている。

 このほか、車室内の利便性や快適性、安全性を追求するための新機能の提案などにも力が注がれる。将来の車載ECUの統合化(統合ECU)の動きに向けた技術提案も進む。パワートレイン系などでは、より耐熱性を向上させた150度対応の部品開発も進展している。