2022.07.08 【電子部品技術総合特集】主要電子部品メーカーに技術アンケート電波新聞社まとめ

 電子部品メーカー各社は、今年度も積極的な技術開発活動を展開する。電波新聞社はこのほど、主要電子部品メーカーを対象に、技術に関するアンケートを実施した。回答企業は31社。それによると、2022年度の研究開発費は多くの企業が前期比増額を計画。新製品開発の重点分野では、自動車関連をトップに通信インフラ、医療機器/ヘルスケア、新エネルギー関連などの分野が重視されている。半導体不足や物流逼迫(ひっぱく)の解消には、まだまだ長い時間を要するとみている企業が多い。米中摩擦やウクライナ情勢など地政学リスクを踏まえ、サプライチェーンの見直しを行う、という企業も目立っている。

多くの企業が積極姿勢、増額計画

22年度の研究開発費計画

 22年度の電子部品メーカーの研究開発費計画は、多くの企業が前期比増額を計画。回答25社中、6割弱の14社が「増」と回答し、「減」はなかった。コロナ禍からの回復などを背景に、積極姿勢がみられている。(グラフは1面参照)

「自動車関連」「通信インフラ」…

需要分野別の新製品重点開発分野

 22年度における新製品開発の重点分野(複数回答)を聞いた。回答28社中、最も多かったのは昨年同様に「自動車関連」で26社。次いで「通信インフラ」と「医療機器/ヘルスケア」の17社。以下、「新エネルギー関連」が16社、「スマートフォン/携帯電話」「ロボット」「FA・制御関連」が13社となっている。

 電子化/電動化が進む自動車は、多くの部品メーカーが最重点分野に位置付けている。通信インフラは、第5世代移動通信規格5Gが本格化し、6Gへの関心も高まっている。

 医療機器/ヘルスケアも、将来の有望分野として期待が高い。

「ユーザーへの技術サービス」など最多

海外での設計、開発機能構築

 海外での設計、開発機能構築の質問(複数回答)では、回答27社中、最も多かったのは「ユーザーへの技術サービス」と「生産技術開発」の17社。次いで「新製品開発」が15社となった。市場のグローバル化への対応や外資系有力顧客のサポートなどのため、海外での技術体制構築は重要性を増している。

 特に昨今は、コロナ禍で技術者の海外出張が困難なこともあり、現地の生産技術開発などが重視されている。

産学共同の研究開発、8割が「行っている」

M&A/アライアンス/産学連携

 各社の研究開発に関するM&Aやアライアンス、産学連携への取り組みを聞いた。

 「産学共同の研究・開発」についての質問では、回答29社中、「行っている」が23社と約8割を占めた。うち8社は「積極的に行っている」と回答した。

 「研究・開発におけるアライアンス」では、回答29社中、「有り」と回答した企業が計18社と全体の6割を超え、うち9社は「国内外いずれの企業ともアライアンスがある」と回答した。

 「研究・開発におけるM&Aの取り組み」(複数回答)は、回答27社中、7社が「国内企業の買収実績がある」と回答。「実績はないがよい案件があれば検討する」も7社を数えた。

8割超がロボットを「導入済み」

工場のスマート化

 電子部品各社の工場のスマート化の取り組みなどを聞いた。

 「量産工程へのロボット導入」についての質問では、回答26社中、8割超の22社が「導入済み」と回答し、「導入を検討中」と答えた企業も2社みられた。

 「デジタル革新による自社工場のオペレーション刷新やスマートファクトリー化、生産性向上への取り組み」についての質問では、回答26社中、6割弱の15社が「活用を始めている」と回答。「近く導入予定」も4社を数えた。

半数近くが開発・生産体制見直し

ウクライナ問題の自社開発業務への影響

 ロシアのウクライナ侵攻に関する自社開発業務への影響について聞いた。

 「今回のウクライナ問題が自社の開発業務に与える影響」の質問では、回答27社中、「直接的な影響がある」と答えたのは1社にとどまったが、「直接的な影響はないが間接的な影響を受けている」と答えた企業が14社に達した。一方、「一切影響なし」「ほとんど影響なし」とした企業も計12社に達した。

 「米中摩擦やロシアのウクライナ侵攻、中国のゼロコロナ政策などのリスクを視野に入れた開発体制や生産体制の見直し」についての質問では、回答23社中、半数弱の11社が「見直しを行う」と回答した。具体的な見直し内容の質問では、「生産拠点のグローバルでの分散化強化」「サプライチェーンの見直し・変更」などの回答が多かった。

部品・物流逼迫は来年も続く予想

半導体不足/物流逼迫の見通し

 最近の半導体不足や物流逼迫の解消時期予測について聞いた。

 「半導体をはじめとする部品不足状況がいつごろまで続くと考えているか」の質問では、回答26社中、「22年末までに解消する」と答えた企業は3社にとどまり、「23年10月以降も続く」とした企業が5社を数えた。

 「物流逼迫による混乱状況がいつごろまで続くと考えているか」の質問では、回答25社中、「22年末まで」とした企業は3社で、「23年1月以降も続く」とした企業が計12社に達した。

 うち「23年10月以降も続く」とする企業も3社みられた。

「時々活用する」が13社で最多

エンジニアの製造業関連のSNSサイト活用

 自社のエンジニアの「製造業関連のSNSサイトの活用」について聞いた。

 回答23社中、最多は「時々活用する」の13社だった。「全く活用しない」は2社にとどまった。

アンケート回答企業一覧

 ▽朝日ラバー▽アルプスアルパイン▽イリソ電子工業▽SMK▽NKKスイッチズ▽オータックス▽岡本無線電機▽岡谷電機産業▽京セラ▽KOA▽サガミエレク▽指月電機製作所▽スミダコーポレーション▽住友電気工業▽大陽ステンレススプリング▽TE Connectivity▽トーキン▽ニチコン▽日本ケミコン▽日本航空電子工業▽日本シイエムケイ▽日本電波工業▽日本モレックス▽ヒロセ電機▽北陸電気工業▽ホシデン▽本多通信工業▽村田製作所▽メイコー▽山一電機▽ヨコオ。(31社・五十音順)