2022.07.08 発泡スチロールの21年の国内出荷量4.2%増使用済みの有効利用率92%に
発泡スチロール協会(JEPSA、柏原正人会長)は6日午後、東京都内で記者発表会を行い、発泡スチロール(EPS)の業界動向や再資源化動向などを解説した。それによると、2021年(1~12月)の輸入品を含む発泡スチロール国内出荷量は前年比4.2%増、国内原料は同5.2%増となり、ともに7年ぶりに前年比プラスに転じた。また、21年の使用済みEPSの有効利用率は過去最高の92.0%に上昇した。
発泡スチロールは、製品特性により、生鮮食品の輸送容器、家電OA機器などの梱包材、建築用断熱材など、幅広い用途で使用されている。また、使用済みの発泡スチロールはさまざまな方法で有効利用されており、約9割という高い有効利用率は、プラスチックの中でPETボトルと並ぶトップクラスの数値となっている。
同協会によると、21年の輸入品を含めた国内の発泡スチロール出荷実績は前年比4.2%増の12万7700トン、国内原料は同5.2%増の11万9625トン。
21年の国内原料出荷の用途別では、弱電部門が前年比11.5%増と高い伸びとなった。世界的なITなどの部品供給逼迫(ひっぱく)による国内生産減少の影響があったものの、空気清浄機、白物家電需要が堅調に推移したことで、前年の落ち込みから回復し、通常状態となった。
主力の水産部門は、前年同様、イカ・サンマなどの不漁や新型コロナウイルス感染拡大による飲食業への影響が継続し、同0.4%増と微増にとどまった。
農業部門は、EPSの食品鮮度保持機能を生かした輸送容器分野において、賞味期限の延長や食品ロス低減を期待した需要などが堅調に推移し、同3.4%増と増加した。
建築・土木部門は、大型公共工事の減少やコロナ感染拡大による住設製品供給逼迫やウッドショックがあったが、同2.9%増と小幅に増加。その他部門は同15.6%増となり、特にライフグッズであるビーズクッション、宅配を含めた物流容器・資材や新規用途拡大などが需要をけん引した。
21年の使用済み発泡スチロールの有効利用率は92.0%となり、20年の90.8%から1.2ポイント上昇した。内訳はマテリアル・リサイクル率が53.8%(ケミカル・リサイクル率0.8%を含む)、エネルギー・リカバリー率が38.2%、未利用の単純焼却、埋め立てなどは8.0%となった。
会見で、柏原会長は「当協会は、サステナブル社会を構成する一員としてSDGsに貢献し、資源としての発泡スチロールの有効活用に積極的に取り組んでいる。使用済みEPSがプラスチックの中で極めて高い有効利用率、マテリアル・リサイクル率を維持できているのは、EPSに係る全ての方々の努力によるもので、改めて感謝する」と述べた。
同協会の22年度の活動スローガンは、引き続き、「発泡スチロールの優れた特性で地球環境を守ります。」をビジョンに掲げ、地球環境を守る「持続可能な社会」実現に向けて発泡スチロールの特性などの理解を深め、高いリサイクル率を維持していく。「将来的には、資源としてのEPSの有効利用率100%を目指す」(柏原会長)。