2022.07.22 【家電流通総合特集】アトムチェーン本部井坂博史社長

4月に開設した研修センター4月に開設した研修センター

社長会もリアルとWebを組み合わせて実施する社長会もリアルとWebを組み合わせて実施する

研修センターを開設、FC店の技術力などを高める

 4月に、FC店の技術力を高めることを目的とした「研修センター」を開設した。FC店の技術力向上、若手スタッフの技術力習得などを目的に展開しているが、満席状態が続くほどの盛況ぶりだ。

 チェーン全体の4~6月の状況は、前年比106%の実績で推移している。商品はエアコン、冷蔵庫、洗濯機など大型商品が順調に推移。エアコンは2桁以上の伸長。3月に各店で点検活動を推進し、その成果が4月以降現れている。在庫の問題もある中、旧モデルの提案など工夫しながら販売できている。テレビは前年以上の実績で、6月以降も100%近くをキープしている。

 冷蔵庫や洗濯機も好調。冷蔵庫は2桁伸長。洗濯機は4、5月に集中的に販売し、6、7月はドラム型機種など中・上位モデルにシフト。単価が上昇傾向にある。

 住宅設備関連では、リフォーム商材が在庫の薄い中でも健闘。4月までキャンペーンを展開しており、水回りなどを中心に売り上げを伸ばした。さらに、オール電化関連商品もエコキュートの在庫を確保しつつ、実績を高めた。

 この状況下、5月にはチェーンの一斉個展を実施。開催日を1、2週間に設定し、密を避ける形の催事を行うところもあれば、特定日を設けて実施する店もあるなど形はさまざま。参加店数は前年並みで、実績も前年並みで着地した。顧客とのつながりを意識し、来場記念品を用意するなどコロナ禍前の催事に戻した店もあった。

 足元の状況は、6月に引き続きエアコンが好調に推移。台数も前年を上回りつつ、単価も上昇。中・上位機種へのシフトが強まっている。国や電力事業者からの節電要請の声が強まる中、消費者も節電への意識が高まっている。電気代など光熱費が高騰する中で、エアコンは節電タイプが売れ筋だ。

 洗濯機はコロナ禍で衛生面を配慮する顧客が増えたことで、ドラム型機種のウエートが高まっている。同機種は事前に販売店向け勉強会も行い、知識を高めた。大型化も目立ち、10キログラム超の大型機種の販売も順調だ。

 冷蔵庫は足元でも好調に推移しているが、中でも冷凍庫は絶好調。4月から売れており、足元の7月も好調。コロナ禍で外出を控えつつ、買い物時のまとめ買いのニーズが高まったことで需要が拡大した。冷蔵庫は、中小型と大型機種で二極化している。

住関連を拡販

 今後の商戦では住関連商品の拡販に注力する。交付金などを活用し、家電とリフォームなどを関連させながら需要を喚起。こどもみらい住宅支援事業の補助金などで省エネエアコンと内窓提案など、省エネ環境を家電とリフォームで構築する。この活動は電器店だからできる提案。顧客への声掛けを推進し、ニーズを探る。FC店に提供している「特選品カタログ」は今後、関連商品を同時掲載するなど「気づき」を与えることができる冊子作成に注力する方針だ。

 台風が到来するシーズンということも配慮し、防災グッズなども提案。電池や懐中電灯、火災報知器などをキャンペーンとして展開予定。また、防犯関連商品もテレビドアホンや防犯カメラなど提案できる体制を整える。

 10月以降は、サッカーワールドカップの開幕などを見越したテレビ需要の盛り上がりに期待。年末に向けた販売促進の中で提案する。また、節電意識の高まりから、省エネや節電関連商品の提案も継続的に行う。

 本社内にFC店の技術力を高めることを目的として開設した研修センターは、エアコン工事など技術面を学ぶ研修場で、工具や取り付けの作業場なども用意。1回4席分で短期間の集中講義型で、受講状況は好調。満席の状態が8月まで続く。指導者は技術力が高い元アトム電器店FC店のスタッフ。若いスタッフや電器店以外のFC店スタッフの技術研修場として活用している。差別化策として今後も継続する。

Web活動も強化

 Webでの活動も強化している。コロナ禍でWebが中心となっていた月に1度の社長会は、リアルを組み合わせながら推進。今後も情報を確実に届ける意味でも、リアルとWebを組み合わせた会合を開催する。昨年5月にはホームページも刷新。一般消費者にも見やすく、FC店の検索も簡単にできるように変更した。

 最近では、新聞販売店舗やガス機器店、リフォーム事業者、引っ越し事業者など家電店以外の業態も加盟してもらっている。顧客帳簿を持つ業態であれば、参入しやすい。一方、電気の安心と安全を担保できる技術力も必要になる。そのために技術センターも開設した。今後は、第2種電気工事士の資格の取得を目指せる教室も開きたい。