2022.07.22 【家電流通総合特集】東芝コンシューママーケティング千田一臣取締役社長

東芝ストアーを勉強会と内覧会で質高める、オンライン活用し地域の平等保つ

 改革を恐れずに取り組み、効率化を重視した施策を続ける中で得た営業力と商品力で、東芝ストアーをはじめとする販売店をサポートしていく。

 今年に入ってから、皆で力を合わせて精力的に活動をしたことと商品力が掛け合わさり、良い数字となって表れた。新型コロナウイルスの影響もまだまだ続いているが、「ウィズコロナ」と捉えて行動を続けている。その中で、半導体不足や原材料、原油の高騰などが起きてしまい、対応に追われることとなった。

 2016年6月末に親会社・東芝ライフスタイル(LS)がマイディアグループ(美的集団)傘下となった。「部品や原材料不足の影響を受けていない」とは言えないが、マイディアグループの調達力を生かすことで迷惑をかけることなく対応できている。上海ロックダウンもあったが、商品供給が続けられた。

 ストアーの皆さまへは、商品を確保した上で必要な場所に回すことで混乱も起こらなかった。それらの作業にオンラインも活用し、より効率的に物流を動かすことができた。今後、さらなる効率化を目指して取り組んでいく。

 下期に向けては、今できることを着実に実行していく。

 ストアーの皆さまには、商品の勉強会を積極的に開催する。質の高い接客を実践できるよう、実際に商品に触れられる内覧会と合わせて開催したい。

 20年以降、分かりやすい情報の平等な提供に意識して取り組んできた。対面だけでは、全国にあるストアーを平等に訪問することは難しかった。オンラインを活用することで、地域の差がなくなり、必要な情報を確実に届けられるようになった。平等に提供すべき情報をオンラインで届けられるようになったことで、対面した際の時間の使い方を変えることができた。よりそのストアーに合ったコンサルティングができるようになり、有益な時間が過ごせている。それに伴い、セールスで回る従業員側の心構えも変わり、その変化が徐々にストアーにも良い影響をもたらしている。

 オンラインの活用で地域の平等が保たれる。単なる利益強要ではないコンサルのしやすさにもなる。東芝系列のための施策ではなく、地域店全体を巻き込んだ施策という意識で、ほかの地域店にも提案できるよう運営したい。

 一方で、情報漏えいなどのリスクもある。デジタルトランスフォーメーション(DX)を加速し、IT関連のスキルもさらに身に付けていきたい。

 各ストアーは、事業主であり、われわれとはフラットな関係だ。ストアーは、エンドユーザーとの関わりを直接持ち、営業するというスキルがある。

 ストアーの経営自体には責任が持てない立場だからこそ、提案営業を強化してしっかりと向き合い、5年後10年後まで見据えてできることを見極めていく。

 ストアーのお客さまは、メーカーではなく店主についている。われわれは、各ストアーの考え方を大切にし、寄り添うことが必要だ。

事業承継が大切

 ストアーを長く運営するためには、事業承継も大切だ。次世代の若者たちに「電器店で働きたい」と思ってもらえるようにサポートを行う。ストアーの質向上のため、安売りだけにならないブランド力を提供したい。東芝ブランドも徐々にシェアが上がってきている。

 この夏、梅雨が早く終わり、繁忙期が早く始まった。家電を扱う立場として、商品の良さや機能で生活がどう変わるのか、改めて考えたい。

 当社を含め、国内の大手メーカーには一定の安心感があると思う。その思いを裏切らないよう、喜ばれる商品を提供し続けなければいけない。

 商品別では、エアコンは計画的に供給を進めている。ルームエアコン「大清快」の最上位機「J-DTシリーズ」には抗菌加工を通風路に初めて施した新商品を市場に投入した。

 最上位機以外にも、上位機「J-Rシリーズ」、標準機「J-Pシリーズ」、普及機「J-Mシリーズ」も同時に発売をすることで、より多くのユーザーの需要に応えられている。

店舗に再度供給

 今後、各店舗で販売が進み在庫が足りなくなったら、その都度必要な店舗に再度供給ができるようにしている。着実に信頼を得ながら、売り上げを伸ばせる環境になっている。エアコンは、計画以上の結果となることを期待している。

 同じく夏に動きが活発になる冷蔵庫は、市場の動きも悪くないと見ている。東芝としては、「VEGETA(ベジータ)」FZSシリーズを新たに発売した。いわゆるフラッグシップ機で、スピーカーを搭載しブルートゥース接続で音楽を流せるなど、食材保存にとどまらない使い方を提案している。業界初の機能で、ユーザーの皆さまからは良い評価をいただいている。普及機と二極化が進んでいるが、客単価の向上につながると考えている。

 気候に大きく左右される夏商戦、今年の梅雨のように想定外になることも考えられるが、臨機応変に対応を見極めて迅速に行動していく。シェアが上がってきている良い流れに乗って、夏商戦を駆け抜けたい。