2022.07.22 【家電流通総合特集】日立グローバルライフソリューションズ宮野譲取締役CMO

テレビCMで商品訴求、「そこで日立!」をキーワード

 今年の夏商戦は、上海ロックダウンや原材料不足などの影響で、当初は商品を十分に供給できていなかったが、それも回復してきている。洗濯機に関しては、ロックダウンの影響が最も大きく、供給が滞った時もあった。その中でもリードタイムを詰めて、在庫を多めに持つことで、エンドユーザーには迷惑がかからないように工夫してきた。

 夏商戦は7月をピークにエアコンや冷蔵庫の需要が加速する。今後、もしロックダウンが発生すると、想定を超える状況になることもあると思うが、的確な需要予測に努めて早めの在庫確保により一層励みたい。テレビはソニーを取り扱うなど日立ブランドで全ての商品をそろえることができず、販売店にとっては品ぞろえにご不便をかけてしまう状況にある。だからこそ、持っているジャンルの商品ではしっかりと対応していく。

 特にコロナ禍で加速したデジタルの活用と日立らしい商品群という、われわれの強みを存分に発揮していく方針だ。それらをお客さまにしっかりとお伝えすることで、存在感をアピールしていく。

 エンドユーザーへの商品訴求では、イメージキャラクターに俳優の芦田愛菜さんを起用し、「そこで日立!」をキーワードとした新たなテレビCMや販促施策で、冷蔵庫や洗濯機などを中心に製品をアピールしている。

 テレビCMの第1弾として、本体幅そのままで格内容積をアップした大容量冷蔵庫の「そこで日立!(大容量冷蔵庫)篇」と、外出先などからスマートフォンアプリで冷蔵室内の食材をチェックできる「冷蔵庫カメラ」を搭載した「そこで日立!(冷蔵庫カメラ)篇」の2本を6月に公開した。第2弾として、〝隠れ汚れ〟までキレイにする洗濯機の「そこで日立!(ナイアガラ洗浄)篇」を、今月公開した。

 家電量販店などの店頭でも、テレビCMとリンクする販促物を活用して、広く商品の印象をアピールする。テレビCMはインターネット上で公開以降再生回数を順調に伸ばしており、多くの方に届いている手応えもある。今後の展開にも期待をしたい。

 複数台を組み合わせて使える小型冷蔵庫「Chiiil(チール)」やカメラ付きIoT冷蔵庫「まんなか冷凍」HXCCタイプなど、特徴的な「日立らしい」商品を発表してきた。テレビCMなどで使用するキャッチフレーズでもある「そこで日立!」と思っていただけるような商品を拡販し、売り上げをしっかりと伸ばしたい。

 新型コロナウイルスの影響が出始めた1~2年目と比べて、今は外出機会が増え、買い物に出かける家庭も多くなった印象がある。1年目は、訪問活動や人を集める個展ができなかったが、それも常態化した。大規模な合展の開催は難しいが、個展なら来場してもらえるようになってきている。

 デジタルの活用も加速した。商品を知っていただく大切な機会として「日立デジタルきになるフェア」を開催した。接客や機能を知る場として活用された。お客さまには高齢の方も多いが、想定以上にデジタルへの対応力が高い。従来の方法も併用することで、皆さまと変わらずお付き合いをさせていただけている。

オンライン活用

 日立チェーンストールの各店舗でも、オンラインの導入は進んでいる。お客さまの情報をスマホやタブレットで見られるようになった。出先で「DMを送ったか」などお客さまに関する細かい情報を見ることができる。営業とのやりとりも、オンラインを活用することで、コミュニケーション頻度が増えた。導入当初はお互いに戸惑いもあったが、セールスポイントが事前にチェックできるため、訪問時のやりとりがより充実できている。

 オンラインの活用で、訪問にかかる移動時間を考えなくてよくなり、手軽にコミュニケーションがとれるようになった。遠隔地など地域の格差はどうしても出てしまい、月に1度訪問できるかどうかという場所もあった。今では、普段から話ができる環境になり、より寄り添えるようになった。

 地域店店主の高齢化も進んでおり、廃業になってしまうチェーンストールもある。同じ地域にあるチェーンストールにお客さまの引き継ぎができるようにサポートをすることで、「買い物難民」をつくらないようにする。それにより、日立ブランドや販売店の信頼を失わないように活動を続けなければならない。

人材育成にも力

 次世代の人材育成にも取り組む必要がある。商品に関する講習会を継続的に行うことで、技術力の向上や販売に関するノウハウ、仕事の面白さや喜びを伝えていく。講習会にもオンラインを取り入れている。生配信によりリアルタイムでのやり取りを行うほか、録画した映像を空いた時間にいつでも見られるようにするなどオンラインの利点を活用している。

 従業員の効率的な働き方も追求していく。コロナ化で進んだテレワークは引き続き活用する。生活環境の変化に伴い、働き方も変化するべきだと考えている。出社のロスを減らすため、直行直帰や在宅勤務の対応を行う。従業員同士の連携は、オンラインも利用しながら必要に応じて続ける。