2022.07.22 【家電流通総合特集】シャープマーケティングジャパン大山貞取締役副社長兼ホームソリューション社担当

高付加価値モデルシフトを継続、商品陣容をさらに強化

 今期の前半戦において、市場環境とサプライチェーンマネジメントの二つで、大きな変化があった。市場環境では、アフターコロナ、ウィズコロナといったキーワードに表されるように、新型コロナのまん延はまだ続いているものの、多くの方の気持ちや、政府が経済を優先的に動かすような施策に少しずつ取り組み始めていることなど、明らかに風潮が変化している。

 一方、サプライチェーンの面では、4月から5月中旬にかけての上海ロックダウンの影響が非常に大きかった。物流のトラブルや円安の進行など、この3カ月で取り巻く環境が目まぐるしく変化している。

 こうした中で、4~6月のわれわれの取り組みとして、従来力を入れてきた高付加価値モデルへのシフトを、引き続き進めている。

 特に、テレビでは昨年発売した「AQUOS XLED」が、販売店から見やすいとご好評をいただいており、今後も拡大していく。今春55V型のラインアップも追加して商品陣容をさらに強化して臨んだ。

 この結果、テレビの市場の中で、この3カ月の間にポジショニングは順調に推移することができ、55V型以上の大型ゾーンで健闘した。

 白物家電では、調理家電分野でウオーターオーブンや水なし自動調理鍋ホットクックなどヘルシオシリーズが健闘したほか、冷蔵庫も好調だ。

 冷蔵庫では400リットル/500リットルで昨年から、奥行き63センチメートルの薄型タイプを出して大変評価が高かったが、今年はその第2弾として、野菜室を真ん中レイアウトにするなど、より進化させて投入し、お客さまに好評だ。

 また予想以上に市場ニーズに応えられたのは、今年2月に発売した家庭用ファン式冷凍庫(庫内容量126リットル)だ。冷凍食品の消費が拡大する中、需要創造につながった。

 上海ロックダウンの影響により一部の商品において、供給面でご迷惑をかけたが、5月から生産を再開しており、この7~9月にかけてリカバリーしていく。

 プラズマクラスター空気清浄機はこの2年、コロナ禍で認知度が上がり、最も拡大した商品の一つだ。ただ今期に入って市場は好調の反動で需要が思ったほど伸びておらず、プラズマクラスター NEXT搭載の高付加価値モデルへのシフトを進めていく。

 下期の市場環境は、マクロの視点で円安が進行し、これが物価上昇につながり、この結果需の要落ち込みが懸念される。こうした中でも、これまで通り高付加価値モデルへのシフトを着実に進めていきたい。

 一方、ライフラインである電気、水道、ガス料金の高騰が続き、お客さまのニーズとして、より節電・節水への関心は高まる。こうしたマインドに応えて、省エネ商品へのシフトを進めていく。

 合わせて、今年は梅雨明けが早く、平年より暑い夏が予想される。夏場の商品であるルームエアコンや冷蔵庫については、きっちりマーケティング活動の強化に取り組みたい。

 ルームエアコンについては、空気清浄機能を強化した「エアレスト」をはじめ、X/Sシリーズといった中高級モデルの提案に力を入れたい。

 冷蔵庫は奥行きをはじめ、さまざまな機能が盛り込まれているが、夏場は特に省エネ機能の提案と「メガフリーザー」を積極的にアピールしていく。

 また秋口からは、テレビ、洗濯機などランドリー商品に注力していきたい。テレビはAQUOS XLEDを中心に、6月からは有機ELテレビ・液晶テレビのEシリーズも順次投入している。人気スポーツイベントに向けて需要増も期待されるので、充実した商品陣容で臨む。

 周辺機器として、テレビの音声が手元でクリアに聞こえるワイヤレススピーカーシステム「AQUOS サウンドパートナー」もシニアやファミリー層にしっかり訴求していく。

 さらにランドリー関連では、節水ニーズが高まる中、30年の実績を持つ当社独自の穴なし槽採用の洗濯機をはじめ、ハイブリッド乾燥、液体洗剤・柔軟剤自動投入機能、スタイリッシュなデザインのドラム式プラズマクラスター洗濯乾燥機に力を入れたい。

 加えて秋商戦では、調理家電のヘルシオシリーズの取り組みにも力を入れる。自宅で料理を作る機会が増えており、「COCORO KITCHEN」からメニューを転送できるなど、AIoT家電としての便利さを訴えたい。

 また、簡単かつおいしく、ヘルシーな調理ができる、という点で、キャンペーン展開もからめながら、商戦を盛り上げていきたい。

 健康・清潔意識が高まる中で、当社独自技術のプラズマクラスター搭載商品群の提案も引き続き強化していく。

オフラインに力

 秋口以降、流通に対する営業施策として、コロナ禍でできなかったオフラインでの施策に力を入れる。地域ごとの状況を見ながら、合展、個展の取り組みを強化したい。

 合わせて、コロナ禍で取り組んできたオンライン販促についても続けていく。吉本芸人とのコラボで、PR-1グランプリを今年も開催する。オンライン、オフラインのハイブリッドでマーケットに提案していく。