2022.07.22 【家電流通総合特集】販社の下半期取り組みデジタル技術活用でウィズコロナ

SNSを店舗業務の一つと捉える店舗も増えている

大型家電の販売に力が入る大型家電の販売に力が入る

 新型コロナウイルスの影響が続く3年目の夏。エアコンや冷蔵庫など夏商戦の目玉商品の販売に地域店は注力する。第7波とされる感染拡大が進む中、メーカー販売会社はデジタル技術を活用しながら、ウィズコロナの対応を進める。

 パナソニックコンシューマーマーケティング(PCMC)は、デジタル化の推進や「パナソニック家電製品正規取扱店制度」の取り組みを加速させる方針だ。

 宮地晋治代表取締役社長は「デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する。デジタルへの投資は必須だ」と話す。営業やサポートなどのシステム面に取り入れることで、さまざまなデータの共有ができるようになり、接客もしやすくなる。IoT家電がさらに広がれば、ソフトウエアのバージョンアップで新たな提案ができるようになるため、付加価値の高い商品を「ロングライフ化」させることができると見る。

 同社は、パナソニック家電製品正規取扱店制度を2021年4月1日に開始した。販路による価格差を最小化する取り組みとして進めており、正規取扱店と認定することでパナソニックショップ(PS)の強みでもある、リアルな接点活動を生かした販売ができるようになる。

 デジタルとリアルを掛け合わせた施策に取り組み、パナソニックならではの価値をPSと共に大切にし、多様化するニーズに応えていく。

 シャープマーケティングジャパンは、テレビや調理家電など、さまざまな分野で高付加価値モデルへのシフトを推し進める。

 昨年発売した4Kテレビ「AQUOS XLED」やウオーターオーブン、水なし自動調理鍋などの「ヘルシオシリーズ」が売り上げを伸ばしている。大山貞取締役副社長兼ホームソリューション社担当は「上海ロックダウンの影響で一部の商品において、供給面でご迷惑をかけた。5月から生産を再開し、この7~9月にかけてリカバリーしていく」と話す。

 下期に向けて「COCORO KITCHEN」からメニューを転送できるヘルシオシリーズなど、AIoT家電に注力する。また、コロナ禍でできなかったオフラインでの施策に力を入れる。地域ごとの状況を見ながら、合展、個展の取り組みを強化。オンライン販促についても続けていき、オフラインと組み合わせたハイブリッドで提案していく。

 東芝コンシューママーケティング(TCM)は、効率化を重視した施策を続ける中で得た営業力と商品力で販売店をサポートする。

 16年6月末に親会社・東芝ライフスタイル(LS)がマイディアグループ(美的集団)傘下となった。同社は、マイディアグループの調達力を生かし、上海ロックダウンの影響を最小限に抑えて商品供給を続けてきた。千田一臣社長は「オンラインも活用し、必要な場所に在庫を回すことに努めた。より効率的に物流を動かすことができ、混乱も起きていない」と話す。

 夏商戦は、最上位機から普及機までを同時発売したルームエアコン「大清快」に注力する。計画的に供給を進め、売り上げを伸ばせる環境にすることで、計画以上の結果に期待する。

 東芝ストアーをはじめとする販売店とのコミュニケーションも大切な業務の一つ。オンラインを活用することで、地域の差がなくなり、必要な情報を確実に届けられるようになった。情報漏えいなどのリスクにも対策を打ちながらDXを加速し、IT関連のスキルに磨きをかけていく。

 日立グローバルライフソリューションズ(GLS)は、強みであるデジタルの活用と日立らしい商品群をエンドユーザーにアピールする。

 同社は、複数台を組み合わせて使える小型冷蔵庫「Chiiil(チール)」やカメラ付きIoT冷蔵庫「まんなか冷凍」HXCCタイプなど、特徴的な「日立らしい」商品を市場に投入してきた。

 この夏、イメージキャラクターに俳優の芦田愛菜さんを新たに起用。「そこで日立!」をキーワードとした、新たなテレビCMや販促施策を積極的に展開する。宮野譲取締役CMOは「家電量販店などの店頭でも、テレビCMとリンクする販促物を活用して、商品を広く印象付けたい」と話す。

 デジタルの活用では、商品の機能を伝える機会として「日立デジタルきになるフェア」を開催した。日立チェーンストールの各店舗では、スマートフォンやタブレットで顧客情報を管理できるようになり、出先で細かい確認ができるようになった。

 販社と店舗、顧客の三者が、リアルとオンラインそれぞれでコミュニケーションを取りながら下期に向けて突き進む。