2022.08.03 【コネクター総合特集】コネクター用樹脂材料新グレード品開発が活発小型、小型薄型化や高耐熱化に対処
スーパーエンプラ各種
コネクターなどの電子部品の成形材料として、スーパーエンプラ(エンジニアリングプラスチック)の技術開発が進む。樹脂材料メーカー各社は、機器の小型・高密度化や高性能化に伴うSMTコネクターの小型薄型化や、高耐熱化に対処するため、新製品開発や新グレード品開発を活発化させている。
コネクターやICソケットなどの電子部品に使用される工業用熱可塑性エンジニアプラスチックにはLCP(液晶ポリマー)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、ポリアミド系(PA46、PA6T、PA9Tなど)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)樹脂などがある。
機器の小型・高密度実装化に伴うコネクターの狭ピッチ・低背化や形状の複雑化、鉛フリーはんだ使用に伴うリフロー温度上昇などにより、成形材料への技術要求は厳しさを増している。
樹脂メーカー各社は、耐熱性や耐摩耗性、薄肉成形に適した高流動性、剛性、摺動(しょうどう)特性、難燃性、寸法安定性、引っ張り強度、低吸水性、耐トラッキング性などの特性をバランス良く引き出しつつ、コスト低減が図れる製品開発に力を注いでいる。
スマートフォン、ウエアラブル端末などのモバイル機器に多数搭載される内部接続用コネクターは、基板に表面実装されるケースが多いため、はんだリフロー時の高温負荷に対しても溶融や変形がなく、低反り性を確保できる高耐熱の成形材料が求められる。特に高耐熱性と優れた薄肉流動性を有するスーパーエンプラであるLCPは、スマホ用コネクター向けに加え、車載用途などでの需要が大きく増加している。
5G機器向けLCPの開発においては、LCPの誘電率を小さくした上で、コネクター部分に適用可能な低反り性や流動性を付与した新グレード品などが開発・市場投入されている。
耐熱性ポリアミド樹脂も、優れた耐熱性に加え、ウエルド強度や低吸水性、耐腐食性、耐トラッキング性などの特性から、電子機器用コネクターや車載電装用コネクターなどの用途での販売が堅調に拡大している。
耐熱性ポリアミド樹脂は、組成によってさまざまな種類があるが、特に、低吸水性と高強度のバランスや、耐トラッキング性に優れた製品などが車載電装用途で大幅に増加している。
PPS樹脂は、耐熱性や寸法安定性、耐クリープ性、耐薬品性などに優れた特性を持ち、特に高温環境下での安定性などの特性から、HEVなどにおける金属代替などの用途で需要が増えている。
PBT樹脂も、自動車ワイヤハーネスやECU周りといった用途において採用が広がっている。