2022.08.23 世界一面白い石材店を目指す!大阪石材工業、DXやSDGsに取り組む

採石場に設置したライブカメラ。映像は同社と現地との打ち合わせだけでなく、お客へも見せることで石の魅力を伝えている

採石された石の95%は廃棄され、「持続可能な目標(SDGs)の観点からも再利用は重要な課題だ」(安達係長)採石された石の95%は廃棄され、「持続可能な目標(SDGs)の観点からも再利用は重要な課題だ」(安達係長)

通常は廃棄される石の傷や模様をユニークな個性と捉え、同社では新たな製品として生まれ変わらせている通常は廃棄される石の傷や模様をユニークな個性と捉え、同社では新たな製品として生まれ変わらせている

 「世界一面白い石材店を目指しています!」と話すのは、墓石の販売・施工を手がける大阪石材工業(大阪府東大阪市)。ものづくりのまちとして有名な東大阪に本社を置き、「お墓のテーマパーク」を計画するほか、昨今話題のデジタルトランスフォーメーション(DX)や持続可能な開発目標(SDGs)にも取り組んでいる。

 同社は墓石の販売だけでなく、鉱山で採掘された石を、自社工場で墓石に製造加工している。石材へ彫刻する技術も持ち、墓石や霊標への文字彫刻だけでなく、立体的な花などを彫り上げることも可能だ。

 墓石のもととなる石材の採掘場は国内に数多くあり、採りきれないほど石材は余っている。ただ、昨今は海外の安い石材に押され、取り巻く事業環境は厳しい。

 同社営業部の安達裕樹係長は「やむを得ず閉山へ追い込まれる採石事業者も。石材業界全体を活性化させるには、一般の人々へ石の魅力を伝えるための新たな取り組みが必要だ」と力を込める。

 新たに同社が挑戦したのが、DXだ。第1弾として、採石場にライブカメラを設置することで、リアルタイムの映像確認ができるようにした。「大島石」で著名な愛媛県今治市、最高級と名高い「庵治石」が採れる高松市の採石場に1台ずつ設置した。

 カメラ映像は、採石場の職人と、同社で製造加工を行う職人との間での打ち合わせ時に活用するほか、同社のショールームを訪れたお客へタブレットを用いて見せることもある。

 同社営業部の安達裕樹係長は「一般の人にも石の魅力を知ってもらいたい。映像を見たお客さまからは『私の故郷、四国の石で作られているのですね』と喜ばれたこともある」と話す。

 さらに、通常は採石場で廃棄される石を再利用し、傷や模様をユニークな個性と捉え、新たな墓石に生まれ変わらせるなど、SDGsにつながる取り組みも推進している。来年には「お墓のテーマパーク」を実現させる予定。

 安達係長は「暗いイメージがあるお墓への関心が高まれば」と語り、今後も同社は墓石業界へ新たな風を吹き込んでいく。